広告産業の仕組みを変革するインフラに。ノバセル営業部長が語る、事業価値と仕事の面白さ
ノバセル株式会社/Novasell/Business Planning (Manager)
楠 勇真
Yuma Kusunoki
東京大学経済学部卒業後、2020年ラクスルに新卒入社。ノバセルに新卒一期生として配属される。テレビCMのマーケティング戦略企画、メディアバイイング、カスタマーサクセスを経験後、テレビCMの効果分析チームの立ち上げに従事。以降、テレビCM効果分析サービス「ノバセルアナリティクス」の事業開発を経て、現在はビジネスプランニング部の部長として、ノバセルのセールス組織を統括している。
新たな仕組みをつくる事業に惹かれ、迷わず入社を決めた
——就職活動の際は、どのような軸で企業を探していましたか?
「事業づくり」にダイレクトに関われる仕事をしたいと思っていました。学生時代に、2社のスタートアップ企業でインターンをした経験からそう考えるようになったんです。
もともとは大学の授業と塾講師のアルバイトを往復する日々を過ごしていたのですが、3年生のときに、ふと「自分をもっと拡張させることのできるチャレンジをしたい」と思い立ちました。ちょうどその頃、友人から長期インターンの話を聞き、面白そうだと自分も飛び込んでみたんです。
最初のインターン先は、当時社員数が5名ほどのアプリ開発会社でした。私は経済学部の所属だったのですが、文系の自分があえてエンジニアの経験を積んだらキャリアの可能性が広がるのではないかと思ったんですよね。その後は1年間休学して、さらに違う会社でWebマーケティングの仕事にも携わりました。
どちらの会社も事業がどんどん伸びていくフェーズで、いちインターンながら少しでも成長に貢献できていると感じられたのが嬉しくて。この経験を通じて、自分で成果や数字を生み出す楽しさに目覚めました。
——ノバセルとの出会いのきっかけを教えてください。
2社目でインターンとして働いていた頃に、友人に紹介してもらったエージェントの方からラクスル(※注:当時はノバセルとの分社化前)をおすすめされたのがきっかけです。
当時のIT業界では、特にゲームやクラウドサービスを提供する会社が注目を浴びていました。それに対してラクスルは、市場規模の大きいリアルなサプライチェーンと紐づく事業を手がけています。「なんてダイナミックな産業に向き合っているんだろう」と、たちまち惹かれました。
——入社の決め手は何だったのでしょうか?
ラクスルが掲げる「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンへの共感が一番の決め手でした。
たとえば、印刷のラクスル事業では、小ロット・低コストで必要なだけ印刷物を発注したいお客様と、印刷機の非稼働時間を減らしたい印刷会社をつなぐプラットフォームを提供しています。双方が幸せになれる新しい仕組みを通じて、レガシーな産業をさらに良くしていくというアプローチが非常にかっこいいなと感じたんです。内定をもらってから、迷わずに入社を決めました。
「発言しなければ、いる意味がない」指摘が成長のきっかけに
——入社後は、サービス立ち上げ直後だったノバセルに配属されました。当初はどのような業務内容を担当していたのですか?
入社当初は、ノバセル導入先企業のマーケティング戦略プランナーを担当していました。当時のノバセル事業部は、15名ほどの小さな組織。それゆえに新人時代からどんどん打席に立たせてもらい、代表の田部さんからも直接クライアントを引き継がせてもらったんです。「ありがたいな」と思う一方で、かなりの緊張感と失敗できないプレッシャーがありましたね。
しばらくはなかなか自信が持てず、お客様との打ち合わせの場に田部さんも同席してもらっていました。あるとき、田部さんとお客様の会話を聞いているだけの私に、隣にいた田部さんからチャットでメッセージが送られてきたんです。内容は、「しゃべらないなら、ここにいる意味ないですよ」というもの。残り15分で何も発言できなければ終わる…と一気に青ざめて、そこから必死に会話に入っていきました。
——強烈な体験ですね。その後、意識や行動は変わりましたか?
田部さんに甘えてしまっていたと反省しましたし、大きく変わるきっかけになりました。振り返ってみると、自分の成長を実感するのは、5年先、10年先に「こうありたい」という姿に向かって取り組んでいるときなんですよね。当時の姿勢では、成長できるはずもありません。
未来の自分はどうなっていたいのかを改めて考えて、「きちんと場をリードできるようになろう」と意識を切り替えてからは、行動も変わっていきました。打ち合わせには田部さんを極力呼ばず、自分の言葉でお客様と会話をする。メールの返信一つとっても、自分できちんと内容を考えてから周りに確認を取る。そうした行動を積み重ねていくうちに、お客様との信頼関係を築けるようになりました。真摯に向き合おうとする姿勢は、やっぱり相手にも伝わるものです。
自分が行動を変えると、チャンスも数多く巡ってくるようになりました。特に成果を出せたのは、テレビCMの効果分析チームの立ち上げを任せてもらったときのことです。それまで、効果分析は営業が各自で行っていました。全社としてノウハウが蓄積されていないことや、営業によって品質の差が生じてしまっていることに課題を感じ、社内向けの勉強会をたびたび主催していたんです。そこからマネージャー職への打診につながり、自ら行動すればチャンスをどんどん与えてもらえる環境なのだと感じました。
——反対に、大変だったことについても教えてください。
効果分析チームが軌道に乗った後は、テレビCM効果分析サービス「ノバセルアナリティクス」の事業開発に携わりました。ところが最初の半年間は全く成果が出せず、非常につらかったです。
今思えば、当時の自分に足りていなかったものが2つありました。
1つ目は、顧客解像度が圧倒的に低かったことです。ノバセルのリリース直後は、デジタルやデータ運用の知見をすでにお持ちの方からは注目していただいたものの、それ以外の方々に向けてどのようにサービスを広めていけばよいのか全くわかっていませんでした。私たちがリーチできていない方々が、テレビCMの運用に対してどんな課題を抱えているのかを知らなかったのですから、当然のことです。
2つ目は、そのような困難な状況にもかかわらず問題を1人で抱えてしまい、社内のメンバーを頼れなかったことです。
行き詰まりを感じていたときに突破口となったのは、オフラインのマーケティングイベントへの参加でした。ノバセルを導入していない企業の方々とも深くお話しができ、リアルな悩みや状況をたくさん聞くことができました。改めて、自分たちのサービスを誰に届けたいのか、どのような課題を解決したいのかを考える重要性に気づきました。
広告主や代理店、全てのステークホルダーを支えるプラットフォームへ
——現在、楠さんが担っている役割について教えてください。
ビジネスプランニング部の部長として、ノバセルのセールス組織を統括しています。自分自身もセールスの1人としてフロントに立ちながら、チームメンバーのマネジメント、営業企画、新規販売チャネルの開発など多岐にわたる経験をさせてもらっています。
マネジメント業務に携わって2年目になりますが、まだまだ勉強の毎日です。以前はプレーヤーとしていかに成果を出すかが求められていましたが、今はそれに加えて、チームとしてどれだけ生産性高く、社会に対してインパクトを生み出せるかを考えなければなりません。
メンバーそれぞれが、自分たちの提供する事業に対して意義を感じながら、パフォーマンスを最大化できるようにアシストしていくのが最大のミッションだと捉えています。
——マネジメントにおいて、特に意識していることは何でしょうか?
組織の目指す“未来”を示しつつ、メンバーの“ありたい姿”を理解し、両者をつなぐような働きかけができるように心がけています。
今まさに取り組んでいることには、どのような意義があるのか。自分たちはどういった方向へ進もうとしているのか。それらが腹落ちしていないと、仕事に対して何かしらモヤモヤした気持ちが生まれてしまうかもしれないし、しんどいときに踏ん張れないと思うんです。「3か月後、半年後、1年後、自分はどうなっていたいのか」をそれぞれのメンバーに聞きながら、今の仕事や事業でどんなふうに実現できるのかを一緒に考えています。
——ノバセルの事業を通じて、どんな未来を実現したいのでしょうか?
最終的には、デジタル広告と同じように、テレビCMの運用ができる世界を目指しています。実現のためには、いくつかのステップがあると考えています。まずは、運用の手前で企業が抱えてしまいがちな課題を解消することが先決です。
たとえば、「広告代理店にCM制作を任せたはいいものの、果たしてうまくいっているのかわからない」と悩まれる企業は少なくありません。ノバセルなら、高速検証によるクリエイティブの最適化、効果的な番組枠のターゲティング、定量的なデータに基づく効果測定・分析などを通じて、お客様のビジネスを成功させるための情報提供や提案が可能になります。
お客様から「テレビCMの効果をきちんと実感できた」「広告代理店の方とより建設的なコミュニケーションが取れるようになった」という声をいただけるのがとても嬉しいですね。また、広告代理店にノバセルのソリューションを提供する場面もあります。広告主はもちろん、テレビCMに関わるあらゆる立場の方への貢献を実感できるのが、この仕事の醍醐味です。
世の中にはさまざまな伝達手段がありますが、テレビほど一斉に多くの人にリーチできるメディアはまだ他に存在しません。つまり、伝えたいサービスを“誰もが知っている”状態にしていくために非常に有効な広告媒体なんですよね。私たちが広告主と広告代理店の間に入り、第三者の立場でテレビCM運用のプラットフォームを提供できる価値は大きいと感じています。
——最後に、今後の抱負を聞かせてください!
ノバセルを、長い伝統と歴史を持つ広告産業の仕組みを変えるインフラへと成長させていきたいと思っています。役割や肩書きにとらわれず、サービス拡大のために必要なことは何でもやっていくつもりです。また、この大きな目標を実現するためのチーム作りにも、さらに力を入れていきたいですね。
テレビCMや広告の世界は、もう70年ほど商慣習や産業構造が大きく変わっていません。逆に言うと、今まで変える必要がなかったくらい秀逸な仕組みだという証拠でもあります。そのことには敬意を払いつつも、時代に合わせて変わっていかなければならない部分も出てきたように思います。
歴史ある産業に対して、ノバセルは広告主も広告代理店も消費者も幸せになれる新しい仕組みを導入し、根付かせていきたい。まさに変革を起こせる事業に携わることができて、日々ワクワクしながら仕事をしています。
また、ラクスルグループでは、ビジネスパーソンとして目指すべき人たちに囲まれながら仕事をすることができ、そんな環境もいい刺激になっています。ノバセルを立ち上げた田部さんにも、創業者の松本さんにも、今の自分は遠く及びません。この環境下でできることが、まだまだたくさんあると感じています。自分の弱みにも強みにも向き合いながら、これからも成長し続けたいです。