「コストセンター」ではなく「競争力の源泉」 印刷事業の根幹を担うSCMの重要性とは
ラクスル株式会社/CORE DIVISION/SCM
澤田 悠
Yu Sawada
大学院卒業後、エネルギー関連企業に新卒入社。SCM(Supply Chain Management)部にて開発購買に従事。外資系コンサルティングファームを経て、2021年、ラクスルに入社。現在はSCMの企画グループにて、印刷のラクスル事業における原価低減施策に注力している。
SCMを「競争力の源泉」として重視していたラクスルへ転職
──まずは、これまでの経歴について教えてください。
私は昔から機械などのモノづくりに興味があり、大学院では理系でエネルギー関係の研究をしていました。
新卒では石油を掘削するモノづくりにかかわる、エネルギー関連企業に入社しました。当初は、物理系のエンジニアとして従事したいと思っていましたが、結果的に機械や電気の設計フェーズにおける調達業務を担当する部署に配属されました。
「どんな部品や資材を調達すればいいのか?」「どこのサプライヤーから購入すれば、コスト削減につながるか?」などを考えながら仕事に携わっており、この時に初めてSCM(Supply Chain Management)という言葉を知りました。SCMの基礎は、3年間働いたこの会社で学ぶことができたと思っています。
──その後に転職された、外資系コンサルティングファームではどのようなお仕事をされていたのでしょう?
事業会社の次は上流工程に関われる仕事に挑戦したいと思い、外資系コンサルティングファームに転職しました。
そこでは、ファンドや商社向けのビジネスデューデリジェンス(BDD)をはじめ、製造業向けの新規事業開発支援や、SCM改革の支援などさまざまな経験をさせてもらいました。
コンサルタントの仕事には4年半ほど就いていましたが、コンサルティングファームに入って良かったと思うことは、経営層と話す機会が多い仕事ゆえ、経営層との接し方や話し方、ビジネスに対する考え方、説得力を出すための資料作成方法を学べたことです。
ただ、30歳を過ぎた頃に「自分自身がやりたいこと」が定まらず、どこかふわふわしているような気がして、「事業会社かコンサルか、どちらに軸足を置いてキャリアを積んでいくか」を真剣に考えるようになったんです。
──そこからどのような背景で、ラクスルへ入社したのですか?
1社目のときに製造現場へ足を運び、機械が動いている現場から、経営に直結するような課題を発見・解決し結果を出すことが好きだったので、SCMに関わることのできる事業会社に興味がありました。
コンサルタントの仕事では上流工程には関われますが、なかなか現場に行ったりそこで働く人と話せなかったりするので、リアルな現場感を味わえるような会社に転職し、自分のコアとなる能力を伸ばそうと考えたんです。
こうした背景がありつつ、ラクスルへ入社したのは、SCMを単なる「コストセンター」ではなく「会社の競争力の源泉」と捉えていたからでした。SCMがより良いサービスを提供するコアな部分として重要視していることが、面接をしてくれた採用オーナーからも伝わってきたんですよね。
「ラクスルなら、色んな面白そうなことに挑戦できるかも」と思ったことが、ラクスルにジョインしたきっかけです。
先を見据えた連携を大切に、原価低減やキャパシティ拡張に奔走
──ラクスルではどのような業務に携わっていますか?
直近では原価低減施策の一環として、物流費の低減に注力しています。
「ラクスルを利用してくださるお客様により安く提供したい」という想いから、これまでにもラクスルが原価率の最も高い印刷紙を自ら調達することで、原価の低減に取り組んできました。次いで、物流費も低減できれば原価をさらに抑えられるので、試行錯誤しながら施策を練って前に進めています。
また、印刷のキャパシティを確保するために新規委託先の開拓をしたり、既存委託先のオペレーションや業務改善、新しい印刷機の導入検討などを通して、キャパシティを拡張できるように調整したりしています。
今後、非連続に事業をスケールさせていけば、キャパシティが足りなくなるのは目に見えているので、先を見据えて拡大を図れるような動きを取っています。
──現在の組織体制や役割、チーム同士のコミュニケーションで意識していることは何ですか?
私は、今期からできたSCMの企画グループに所属しています。チームとしては現状は部長と私の2名体制ですが、働き方としてはそこに印刷業界に精通した知見を持つメンバーもカウンターパートとして加わり、SCMの中長期的な戦略やコスト削減施策の企画・立案をおこなっています。
場合に応じて、委託先のパートナーと膝を付き合わせながらコミュニケーションを取って関係構築をしたり、実行部分でオペレーションチームと連携したりしながら業務を進めるケースもよくあります。
チームをまたいで円滑にコミュニケーションを取っていくために心がけているのは、「できるだけ早く連携する」ことです。
アイデアがある程度まとまった段階で、早めにオペレーションチームへ頭出しをおこない、アイデアやフィードバックをもらうようにしています。というのも、オペレーションチームはフロントに立って対応している手前、現場で起きていること、問題になっていることに対する解像度が高く、企画グループだけが主導で動いたとて、絵に描いた餅になってしまうからです。
──SCMの企画グループで働くなかで感じる、ラクスルの魅力は何でしょう?
「ベンチャーならではの風通しの良さと自由度の高さ」です。2021年7月に入社後、組織が拡大して変わっていくフェーズを経験させてもらえていることが、大きなやりがいにつながっています。
また、ちょうど最近、育児休暇制度を活用して12日間の休暇をいただいたのですが、育児休暇取得に対しても全く後ろめたさがなく、周りのチームメンバーからは「おめでとう」と背中を押してもらえました。仕事の優先順位に関しても相談に乗ってくれて、取得前にやっておくべきことと、そうでないことを一緒に振り分けてくれるなど、非常に社内のフレキシブルさを感じましたね。
SCM視点から顧客体験を向上できるようにしたい
──働くうえで大切にしている考え方はどのようなことでしょうか?
仕事を進めるうえで大切にしているのは「謙虚さ」「素直さ」といった姿勢です。加えて、近視眼的にならないことも意識していますね。
上からの指示で降りてきた業務に対し、何も考えずにただ仕事をこなしているだけでは、単純作業になってしまい、いつまで経ってもチームで描いている2、3年先の事業ビジョンを掴めず実現できないだろうと思います。大局的な視点を持ちながら、「今、担っている業務はどのような意味を持つのか?」「パートナー企業やお客様にどんなインパクトをもたらすのか?」など、思いを張り巡らせることも大事だと考えています。
ほかにも、「ラクスルの独りよがり」になっていないかどうかも注視するようにしています。
サービスを提供するなかで、ラクスルが中心となってさまざまな取り組みをしていくわけですが、パートナー企業を蔑ろにしてしまっては元も子もありません。そういった意味では、何か新しいアイデアが思いついたときに、フラットに相談できるような関係性を普段から築けるよう心がけています。
大口取引のあるパートナー企業を中心に月に1回の定例会を開き、需給のバランスに応じた発注量やオペレーションの改善点などを擦り合わせる機会を設けています。また、基本的にはサプライ側と向き合うことが多いのですが、将来的には顧客視点に立って、SCMの観点からお客様の体験をより向上させられるような提案もしていきたいですね。
SCMだからこそ気付ける、お客様が求めていることや考えていることを念頭に置き、事業成長につながるインパクトを生み出せるようなチームにしていければと考えています。
──最後に、澤田さんの今後の展望と、どのような方がSCMの企画グループにマッチするかを教えてください。
今はまだチームと呼べるほどの人数構成ではないので、組織として動けるようなチームビルディングをしていきたいですね。そのために、現在従事していること以外にも活動の幅を広げていければと思っています。
また、SCMが持つべき「本質的な競争力は何なのか?」をあらためて定義し、何が他社に負けない強みなのか、どのようなインパクトを出せれば競争力の源泉となりうるのか、ということを追求していく必要があると感じています。
だからこそ、固定概念にとらわれることなく課題を設定したり、ゼロベースでディスカッションできたりする方にジョインいただけたらと思っています。加えて、パートナー企業との信頼関係を構築し、共感を得られるような柔軟なコミュニケーションを取れる方ならマッチすると考えています。
少しでも興味を持っていただけましたら、ぜひご応募いただき、新しいチームを一緒に創っていきましょう!