「新たな仕組みで人を幸せにしたい」、高田琢平がNTTデータからノバセルまで一貫して持ち続けてきたモチベーションの原点とは?
プラットフォーム開発部
高田 琢平
Takuhei Takata
2009年、NTTデータに新卒入社。約9年間にわたって、音声/映像コンテンツ関連の自社サービスのプロダクトマネジメントを担い、複数のサービス立ち上げや事業拡大に貢献。その後、広告、教育業界向けのシステムインテグレーション事業のプロジェクトマネジャーを経て、2021年にノバセルに参画。
■「新たな仕組みやサービスで、より多くの人の幸せに寄与したい」
――まずはノバセル参画までのキャリアを教えてください。
僕は大学院で電気工学を専攻していたこともあって、漠然と電機メーカーなどに就職することを考えていたのですが、ある時にふと「テレビの画質やパソコンのスペックをこれ以上高めても、投下した努力の割りには人の幸せにはつながらないな」と思ったんです。バックパッカーをしたり、モノに執着しない学生生活を送っていたりしていたからそう思ったのかもしれません。実際に「限界効用逓減の法則」という言葉があって、モノやサービスの増加から得られる満足度は、保有量が多ければ多いほど低下するらしく、近い考え方だと思います。2杯目のビールより1杯目のビールの方がおいしいという理論ですね。
一方で、同じモノやサービスでも、届ける先が違えば効用が違う。例えば、ネパールの山奥に住んでいる人たちが携帯電話を使えるようにすることは、たとえ型落ちの機種であっても、その人たちの生活を根本から変えるインパクトがあることだと思います。だいぶ大きな話になっちゃいますが、ネパールの山奥に携帯電話を届ける仕組みのように、世の中の不均衡や非効率を是正するような仕組みを作って、より多くの人の幸せに寄与できたらいいなと思っていました。そういった考えから、ITで社会の仕組み作りをしているNTTデータに就職しました。
――NTTデータでは具体的にどんな業務を担当されていたんですか?
12年間在籍していたのですが、前半の約9年間は音声/映像コンテンツ関連の自社サービスを担当しました。社外のステークホルダーとの折衝や、開発チーム、運用チームのディレクションを通じて、複数のサービスの企画・開発・提供までを実施する仕事です。
最も思い入れがあったのは、音楽の権利処理を代行するサービスです。放送局や動画配信をする会社では、コンテンツ内で使用した音楽の権利を権利団体にレポートする必要があるのですが、それまでは制作スタッフの方々が手作業で行っていたんです。権利を持っている方々は正しいレポートがなされないと困る一方で、レポートする側の負担が大きい状態でした。それに代わるものとして、使用した音楽を自動検出してレポーティングするサービスを作りました。データベースに登録する音楽データのために、いろいろな企業を行脚して「データをください」と交渉をしたり、放送局や権利団体の一筋縄ではいかない業務や既存のシステム、関心事を理解して、「隙間を縫う」ようにサービス開発をしたり。チャレンジングなことが多く楽しかったですね。
ほかにも、インターネット上にテレビ局などのコンテンツが違法流通していないかをパトロールするサービスや、マーケティングデータを提供するサービスなど、いくつかの自社サービスの開発を行っていました。
――後半の3年は部署異動されたのですか?
そうですね、SI(システムインテグレーション)事業といって、クライアントのためのシステムを構築する部署に異動しました。たとえば教育事業を展開する企業のグローバル基幹システム、官公庁の教育研修システムや、広告代理店のマーケティングデータを分析するシステムなど、クライアントの意図や目的に合わせたものを作っていました。
■業界の変化のためのラストワンマイルは“人”
――お話を聞く限りは充実していたように思えますが、新天地を考えるきっかけになったことはなんでしょうか?
12年間NTTデータに在籍し、自社サービスの開発とクライアント向けのシステムの構築を両方経験してみて、自社サービスの開発に注力したいと感じたことが大きな要因です。どちらも面白いのですが、ビジョンに沿った意思決定を行い、あるべき仕組み作りをするには、自社サービスの方がやりやすいと感じます。NTTデータにも自社サービスはありますが、社内の異動をするくらいなら、心機一転、新しい場所で力を試してみたいと考えました。
――転職を考えているときにノバセルが候補に入ってきたわけですね。それではノバセル参画を決める要因になったのは?
もともと新しいフィールドとして、業界の仕組みを変えるようなBtoB向けのSaaS企業を探していました。加えて、ラクスル/ノバセルには「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」、つまり伝統的な産業をデジタルで変えるというビジョンがあったので、それに共感したというのが第一です。NTTデータに入社したときと同じように、「仕組みを作ることによって、社会の不均衡や非効率を是正したい」という気持ちがありました。
とはいいつつ、これまで自分が実際に仕事をしてきて、慣習の強い業界の仕組みを変えるためのラストワンマイルは人の力だなと実感したんです。デジタル技術だけではだめで、オペレーションや業界力学なども併せて考えなければいけないし、そこまでコミットしないと変えることはできない。ノバセルとはその認識を共有できたのが2点目。
もうひとつ、ちょうど僕が入社するころがノバセルが事業を始めて1年たったばかりで、フェーズ的にチャレンジングな時期だったことが3点目です。ノバセル事業を軌道に乗せる過程で貢献したいと感じました。
4点目は、過去の経験が生かせると感じたこと。ノバセルはテレビCMというある意味での伝統産業の革新を掲げていますが、テレビ局や広告代理店、広告主、データ提供会社などのステークホルダーが多い中でのプロダクト開発では、自分がNTTデータでやってきたような「隙間を縫う」ことが必要になる。動かしがたい産業において徐々に仕組みを変えていくことは経験を生かせるし、やりがいもあるチャレンジングなことだと思いました。
――実際にノバセルに入社してみての印象はいかがでしょうか?
組織としてはフラットで、いい意味で大人な方が多いですね。さまざまなバックグラウンドを持った人の集まりなので、個々人のプロフェッショナリティを尊重したうえで建設的な議論をしている印象があります。
また、チームで事に当たるという文化があると感じます。多職種の人がうまくコラボレーションしながらプロダクト開発を推し進める風土が根付いています。
一番特徴的だと思ったのは、全員がユーザーや事業への解像度が高いことですね。プロダクトがユーザーにどう使われて、ユーザーの行動がどう変わるのか、それにより事業にどのようなインパクトがあるのかについてよく議論しています。なので、「こういった機能がほしい」だけだとダメで、「誰の何の課題を解決するのか」「それは事業にどのようなインパクトがあるのか」を突き詰めるようにしています。
■CMの効果を客観的なファクトで提示する「ノバセルアナリティクス」
――ノバセルでの現在の担当業務について教えてください。
テレビCMの効果を可視化できる「ノバセルアナリティクス」というSaaS型プロダクトのプロダクトマネジメントを担当しています。これまでテレビCMというのは、基本的にはテレビ番組の視聴率などの指標でプランニングや効果検証がされてきましたが、ノバセルでは、「テレビCMによって実際に人がどのように動いたか」を可視化し、それをベースにテレビCMのプランニングや効果検証を行うことを推奨しています。そのために開発されたのが「ノバセルアナリティクス」です。僕はノバセルアナリティクスの機能開発や施策の実行、オペレーションのディレクションなどをしています。
――CMの放映料は高額なのに、これまで実際の効果を測るツールがなかったことに驚きました。
そうですね、これまでもなかったわけではないと思いますが、リアルタイムに放映効果を特定し、効果検証を繰り返すことは困難であり、短期間での効果の最大化や、適切な投資判断をすることは難しかったと思います。「ノバセルアナリティクス」を用いると、テレビCMの効果をクリエイティブや番組単位、放映エリアごとに可視化され、デジタルマーケティングのように運用する「運用型テレビCM」が実現できます。また、お客様からは、客観的な立場で効果を計測できるというビジネス上のポジションも評価されていますね。
――では高田さんのノバセルにおける今後のビジョンを教えてください
まず、ノバセルアナリティクスとしては、可視化した効果を用いて、いかにうまくテレビCMのPDCAを回せるようにできるかを考えています。うまく活用いただいているお客様もいらっしゃいますが、プロダクトとしてはさらなる改善の余地があると思っています。
あとは、テレビCMの領域全体で考えると、広告主、広告代理店、テレビ局の取引にもっと入り込んでいければと思っています。「テレビCMによって実際に人がどのように動いたか」を取引の指標として確立した上で、取引を円滑にする仕組みを作りたいですね。ノバセルのビジョンは「マーケティングの民主化」なので、これまでテレビCMにアクセスできなかった方々であっても、テレビCMの力を最大限活用できるようにしていきたいです。
――最後に、高田さんからみてノバセルに向いている人、一緒に働きたい人はどんなタイプでしょうか?
まだ組織、事業としては拡張段階で、日々変化していますし、かつチャレンジングな領域でもあるので、それ自体を楽しめる方であることは必須だと思っています。あとは、前述の話と重なってしまいますが、ユーザーや事業への関心が高い人。「誰の何の課題を解決するのか」「それは事業にどのようなインパクトがあるのか」を考えて、かつ妥協しない人が求められていると思います。今はない仕組みを作るのが仕事なので、理想のあるべき仕組みを描いた上で、目の前の施策を着実に実行できるような方と一緒に働きたいですね。