テレビが持つ力を信じ、広告の価値と成果を最大化する提案をこれからも——元テレビ局員がノバセルで叶えたい、業界の未来とは?
ノバセル株式会社 ノバセル事業本部 グロースパートナー事業部 メディアプランニングG
出井 龍之介
Ryunosuke Dei
2014年に京都大学を卒業後、関西テレビ放送株式会社へ新卒入社。営業局に所属し、テレビのスポットCMプランニングを行う業務部で6年間従事。その後報道局へ異動し、報道記者として2年半余り取材・ディレクター業務を行ったのち、2023年4月にノバセル株式会社へ入社。メディアプランナーとして、CMの放送枠の買い付けや提案を担当している。
「テレビが好き」という想いから、テレビ局員の道を選択
——まずは、ファーストキャリアにテレビ局を選んだ理由と、どんなお仕事をされていたのかを教えてください。
「テレビが好き」という理由から、テレビ局で働くことを志望しました。私は神戸出身で、大学を卒業するまでずっと関西に住んでいたのですが、就活で運良く地元の関西テレビから内定をいただくことができ、入社に至りました。
もともとテレビ番組を制作する部署を希望していましたが、最初の配属はテレビCMの枠を販売する営業局でした。スポットデスクと呼ばれる内勤営業の仕事に、6年間携わっていました。内勤営業は「テレビCMを1本あたりどれくらいの値段で売るか」や「発注いただいたテレビCMを、どの番組・時間帯に放映するか」を組み立てていく仕事です。
2020年からは報道局に異動し、2年半余り報道記者を経験しました。皆さんが想像される通りで、事件が起きたら現場に出向いて取材し、原稿を書き、動画を編集して、オンエアに乗せる業務です。
——営業局への配属は希望と異なっていたとのことですが、実際に6年間従事してみていかがでしたか?
一人あたりの責任や裁量が大きく、取り組みたかったことも実現でき、非常に実りある経験をさせていただけました。
まず、テレビ局の営業は特殊だと感じました。普段、テレビ番組を視聴していると、ありとあらゆる企業のCMが流れると思います。その裏側では、各CMの放映に向け、広告代理店が大企業クラスのクライアント1社ごとに1つのチームを組成して取り組むことが一般的です。他方、テレビ局の営業部員は、たった一人で何十社ものクライアントを担当します。実際に私が配属された当時、部署には6人ほどしかおらず、新卒や若手といった年次は関係なく、かなり早い段階から億単位で出稿いただいているクライアントを担当するなど、責任ある仕事を任せてもらっていました。少人数でこなしているがゆえに、一人当たりの責任や裁量が大きいという特徴があったのです。自分で値付けからプランニング、クライアントへの提案まで一気通貫で取り組むことができて、とても楽しかったです。
また、昔からテレビが好きだったこともあり「なぜ、この番組にこのCMが流れているんだろう?」という興味を実地で紐解くことができて、非常に面白味を感じながら従事できました。
——その後、報道局へ移られています。異動の経緯を教えていただけますか?
異動には、自ら手を挙げました。希望を出した理由は大きく2つあります。
1つは、経験の幅自体を広げたかったからです。もう1つは、営業局でCM枠を販売してきた一方で、「やはり、テレビ局の本家本元の強みは番組本編だ」と思ったことが理由です。本格的に記者やディレクター業も経験して、番組制作の技術を身につけられたら、より媒体価値を感じた上で働くことができると、当時考えていました。
——報道局でのお仕事はいかがでしたか?
30歳になる手前で異動したのですが、まるで転職をしたかのような全く違う領域で、初めはこれまで身につけたスキルを脱ぎ捨ててしまったような感覚を覚えました。営業局にいた6年間でベテラン感が出てきていたので、リセットされ、謙虚になれた気がします(笑)。
現場に身を置くなかで「実際に番組がどう制作され、オンエアに至っているか?」を事細かには知らなかったと気付き、ディレクター・カメラマン・アナウンサー・編集担当・技術担当など、番組が完成するまでに関わるさまざまなプロフェショナルと働くことができて、非常に勉強になりました。
特に印象に残っているのは、「初見の方に対して、情報をどのように伝えたら深く理解してもらえるかを考えなさい」という当時の上司の言葉です。この課題意識を持って試行錯誤した2年余りの経験は、今の仕事にも活きていると思います。
業界をもう一度盛り上げるために。強く共感したノバセルのビジネスモデル
——そこから、次のステップを考えるようになったきっかけを教えてください。
私がテレビ局に新卒入社した頃から比べて、メディアを取り巻く環境が大きく変化しているのを実感したことがきっかけです。変わりゆくテレビ局の立ち位置に危機感を持ちつつも、テレビ業界の構造上、自分の立場で業界全体を変革していくのは困難だと考えました。
業界をもう一度盛り上げることに寄与するために、まずは私自身のスキルの領域を広げてアップデートしていく必要があると思いました。そこで、デジタル広告に関する勉強をしつつ、「テレビとデジタルの両方を扱えるようになろう」と転職活動を始めたのです。
——転職活動では、どんな企業を受けていましたか?
いわゆる動画配信のプラットフォーム企業など、デジタル系の媒体社を受けていました。テレビの視聴者を自社のメディアへ取り込もうとする企業も多かったので、テレビ局の知識を活かしながら、デジタルの知見も深めることができると考えたからです。そのほか、デジタル系の広告代理店なども選択肢にはありました。
——ノバセルとの出会いは、何がきっかけだったのでしょうか?
スカウトメールをいただいたことが出会いのきっかけでした。当時は、関西テレビでも放映している印刷EC「ラクスル」のCMを通じて会社自体は認知していました。ただ、ノバセルを含め、具体的な事業内容は全く知らなかったです。
——そこから、どのようにノバセルへの関心が高まったのでしょう?
カジュアル面談を通じて、代表を務める田部の話に感銘を受け、関心が高まりました。これまで「テレビCMは効果が可視化できないので、デジタル広告の方が効率的なマーケティング手段だ」と散々言われるようになっていたなかで、ノバセルでは、テレビCMの効果を可視化するにはどうすれば良いのかを考えて実行していると知り、非常に驚きました。
田部自身がテレビという媒体のパワーを有効活用して得たラクスル事業での成功体験をもとに、世の中のあらゆる企業が広告媒体を上手く扱えるようマーケティング支援をしていることに非常に共感するとともに、ノバセルの事業に可能性を感じました。
——ノバセルに入社した決め手は何ですか?
マネージャーをはじめ、優秀な社員の存在は大きかったです。また、ノバセルの新たなコンセプトである「3rd AGENCY」構想も強い決め手となりました。
「3rd AGENCY」とは、既存の広告代理店の在り方は尊重しつつ、ノバセルは第三者として立ち位置を変えて、クライアントに寄り添っていくというビジネスモデルです。現在は主に「ノバセル プロフェッショナル」のサービスを軸に、この構想を具現化しています。広告業界のなかで、これまでにない立ち位置を確立し、世間や企業のマーケティングに貢献していくことに将来性を感じました。
培った経験を、成果を最大化する広告のプランニングに活かしていく
——現在の所属部署と担当業務を教えてください。
グロースパートナー事業部のメディアプランニング部という部署に所属しています。メインの業務は、クライアントからご依頼いただいたテレビCMを中心とした広告プランをまとめる仕事です。媒体はテレビCMのほか、タクシー広告や屋外広告などがあります。
クライアントに対して、自ら直接プランを提案する場合もありますが、基本的には事業部のBP(ビジネスプロデューサー)と呼ばれる営業担当とともに「どのような戦略で次のキャンペーンを成功させるか?」を相談し、協力体制を構築しながら進めています。
——事業部の営業担当との役割分担について、詳しくお伺いできますか?
まず、クライアントと対面で密にコミュニケーションを取っているのが営業担当です。彼らが、クライアントの要件や課題感をキャッチアップし、ノバセルとして提案していくべき方向性をコンサルティングチームのメンバーと分析・考案します。その結果をもとに、私が所属するメディアプランニング部で「どのテレビ局に、どれくらいのCMを放映するのが最も効果的か?」といった広告プランを具現化し、提案につなげています。
また、業界全体として、テレビ局出身者が私のような立場にいることは珍しいため、本来は広告代理店を通さないと聞くことができないテレビ局側の意見を「ノバセル所属の元・テレビ局員」として、クライアントに直接アドバイスや提案をさせていただく機会も多々あります。
——入社してから一番印象に残っていることは何ですか?
全国的なキャンペーンを数か月にわたって実施したクライアントとのお仕事が、特に印象に残っています。
キャンペーンを成功させるためにおこなった大規模な分析・検証と、その結果をもとにしたプランニングが実を結び、非常に良い広告効果を創出することができました。クライアントからは「ノバセルの言う通り、先にきちんと分析・検証したうえで、成果を上げられる広告を出稿するのは大切なことであり、素晴らしい取り組みですね」と仰っていただいています。
事業会社であるRAKSULグループの一員として、クライアントの気持ちをよく理解しているという大前提のもと、クライアントからいただく貴重なお金をしっかりと有意義に運用できるようにと強い理念を持って取り組んでいるので、思った以上の効果が得られたというお話をいただけると、非常に嬉しく思います。
——分析・検証自体は他のチームが担当されていると思います。出井さんが、そこに対して意識的におこなっている働きかけはありますか?
分析・検証を実施するコンサルティングチームからは、「このテレビCMを流すには、この時間帯のこの番組が合っている」という示唆をもらいます。以降は、実際に該当の枠にどれくらい放映できるかが肝になります。またノバセルでは、クリエイティブチームや戦略チームがCMの素材を何通りも制作し、放映時にどちらの方が効果的かABテストをすることも多くあります。
そのなかで、たとえキャンペーンの開始後であっても、より効果の出る素材の放映配分を増やすなどテクニカルな調整対応なども私が担当しています。テレビ局で培った経験のおかげで、テレビ局ができることと、できないことの算段がつくので、成功につなげるための日々の調整にも大いに活きていると思います。
——ノバセルの働く環境はいかがですか?
正直なところ、転職時は非常に不安でした。前職は、関西という立地柄もあり、アットホームな雰囲気で楽しく働いていました。転職にともない、初めての東京かつベンチャー企業で、環境が大きく変わってしまうと思ったからです。
しかし、実際には、同じチームにもテレビ局や広告代理店出身者といった業界解像度の高い方もいたので、テレビ局出身の私にできること、できないことをはじめから理解いただけて安心しました。当初は、もっと野に放たれて戸惑うのではないかと想像していましたが、未経験の業務についてはしっかりサポートいただき、オンボードできたことはとてもありがたかったです。
また、部署内外を問わずさまざまなメンバーから、テレビ局に対する解像度を高めようと、入社間もない頃からフランクに相談を受けるようになりました。逆に、私が取り組んでみたいと思うことを相談すると「面白そうですね!」と積極的に一緒に手を動かしてくれて、発案した試みが実現したことも既に何件もあります。ノバセルのスピード感と活発な互助連携文化には、とても驚きましたね。
——出井さんの発案で実現したこととは、例えばどんなことですか?
一例として、ノバセルのツールをテレビ局にも活用してもらう施策が挙げられます。
私をはじめ、当時のテレビ局では「ノバセル」という会社の認知がまだ低かったので、会社と事業の知名度を上げていく必要があると思いました。そうして「このような指標で、テレビCMを分析し、効果検証している人たちがいる」ということを広め、ノバセルのツールをテレビ局にも活用いただこうと、今はテレビ局にも提案しています。
ノバセルが現在展開しているツールは、クライアント目線で「全ての番組のなかで、どの枠のテレビCMの効果が一番良いか」といった検証をする際に活用されることが多いですが、同じツールをテレビ局の立場で使ってみると「自分たちの番組に広告出稿してもらった結果、クライアントに対してどのような効果が出ているのか」など、自分の局のことを理解したいというニーズに応えられると考えました。
そこで、本格的に「テレビ局員だったらどんなツールが欲しいと思うか?」という相談をコンサルティングチームにしたところ、「それなら、このような資料や数値を出せますよ」と協力を得られ、実際にテレビ局の成約にもつなげることができています。
指標の確立は、グロースパートナー事業の責務。媒体価値が再認識される未来を目指して
——今後、やり遂げたいことを教えてください。
テレビ局にノバセルの存在をより深く認知してもらうことは、ノバセルのビジネスにもプラスになるので、個人的にはテレビ局との取り組みに今後もチャレンジしていきたいと思っています。
現状、業界で使われているメジャーな指標は「視聴率」で、ノバセルが最重要視している「指名検索数」やノバセルアナリティクスの「セッション数」と呼ばれる指標は、テレビ局のプレーヤーにはまだまだ認知されていません。これを私が起点となって、もっとテレビ局に導入していきたいですし、現在マーケティングDXチームが取り組んでいるように、他の広告代理店が「指名検索数」や「セッション数」といったノバセルの指標を使い、彼らのクライアントへ提案するなど「ノバセルの指標を使って戦うプレーヤー」を増やしていきたいと思います。
さらに中長期的な視点では、「ノバセルの指標を使ってテレビCMをバイイングするプレーヤー」を増やしたいです。それがグロースパートナー事業の責務であり、たとえノバセルが介在しなくても、いつか視聴率と横並びになるくらい、ずっと使ってもらえる指標へと確立していけるように頑張りたいです。
——ノバセルの指標の確立が実現できたら、どのような変化が訪れると思いますか?
ノバセルの指標がメジャーな取引指標として活用されるようになれば、視聴率以外の指標でもきちんと効果が出ていることがクライアントに正しく伝わり、改めてテレビの媒体価値とテレビCMが持つ力を再認識していただけるようになると考えています。
また、それがテレビ業界がもう一度盛り上がるきっかけになり得ると思っています。
——最後に、ノバセルで働くことを検討してくださっている方々に向けて、メッセージをお願いします。
テレビが好きで、テレビ自体の力をまだ信じていて、テレビCMをマーケティング手段として正しく効率的に活用していこう、というノバセルの思想に共感してくださる方にジョインいただけたらとても嬉しいです。
またノバセルでは、コンサルティングチームやTechチームと協働し、全く新しい仕組みをつくり、唯一無二の立ち位置で売り出すことができます。今の立場や環境ではなかなか実現しづらいアイデアがありながら、どこかで形にしていきたいという志をお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひノバセルで一緒に働き、成果を創出していけたらと思います。