育休で家庭もチームも強くなった。制度を活用した男性社員が語る、育休のリアルとは
ラクスル事業部 SCM部 テックリード
岡田 祐一
Yuichi Okada
神戸大学卒業後、株式会社IMJに新卒入社。モバイル部署で、ガラケーサイトの開発に携わる。その後、スタートアップ数社を渡り歩き、2014年にラクスルへ入社。印刷ECチームリーダーとしての開発を牽引。2016年からSCM部で印刷発注基盤V1の開発に従事し、ラクスル事業の利益向上に大きく貢献する。現在もSCM部で印刷発注基盤リビルド(V2)の開発リードを担っている。私生活では2児の父。
ダイレクトメール事業部 事業責任者 兼 顧客管理部 決済G マネージャー
田坂 一樹
Kazuki Tasaka
早稲田大学大学院卒業後、有限責任あずさ監査法人に新卒入社。国際事業部にて、グローバル企業の監査等に携わる。その後、株式会社フーモア、株式会社キッズラインで執行役員として上場準備、経営企画、人事等に従事したのち、2022年にラクスルへ入社。決済Gにてラクスル請求書サービスの企画と業務構築、部署横断プロジェクトのロイヤリティプログラムのサービス検証を経て、現在はダイレクトメール事業部で事業責任者を務めている。私生活では2児の父。趣味はフルマラソン。
育休取得のきっかけは「男性育休の取得は普通のこと」という社内の雰囲気
――育児休業(以下、育休)を取得した期間と、なぜその期間を選んだのか教えてください。
岡田:
私は2022年12月10日~2023年1月22日の期間に育休を取得しました。「取れるならなるべく長く」と思ってはいましたが、リーダーというポジションで働いていること、チームメンバーが若いこと、進行中のプロジェクトがあったことなども踏まえ、取得期間は1か月半にしました。
田坂:
私が育休を取得したのは、2023年1月18日~31日です。出産は前年12月28日だったのですが、年明けに業務がばたつくことが予想されていたため年内は配偶者出産休暇を3日間使い、年明けに業務を整理してから1月18日に育休に入りました。
短期間での取得になったのは、不在の期間が長いとチームメンバーに負荷がかかりすぎてしまうことと、毎月月初の決済Gの繁忙期を避けたことが理由です。特にサポートが必要な産後1か月間をしっかりサポートできればと思い、月末までの2週間を育休にしました。
――おふたりとも今回は第二子の誕生で、第一子のときには育休を取得しなかったと伺っています。どのような経緯で取得しようと思ったのでしょうか?
岡田:
一番の変化は、男性の育休取得に対する社会の目が変わってきていることです。第一子が生まれたのは2019年の4月。社会的な雰囲気と自分の仕事の状況を照らし合わせると、なかなか取得には踏み切れませんでした。実際に、2018年にCFOの永見が育休を取るまでは、社内で育休を取る男性はほとんどいなかったように思います。
しかし最近では、事業部内でも男性育休取得が普通のことになり始めているのを目の当たりにして、今回はぜひ自分も取ろうと思ったんです。
田坂:
私も岡田さんと同じように、男性育休が当たり前になってきていることは肌で感じていました。また、私の背中を押したのは、同僚が数か月前に育休を取っていたことでした。私は2022年5月に入社したので、入社から1年も経っていないのですが、周囲が当たり前に取っていたことで、心理的なハードルなく育休を取得することができました。
休みに入る前に、引継ぎと調整に徹した
――育休取得を決めたときの、パートナーやメンバーの反応はいかがでしたか?
岡田:
妻は「取ってもらえるだけでもありがたい」と喜んでくれましたね。チームメンバーに関しては、実は「え!?」という反応でしたね。所属チームが、ジョインして間もないメンバーで構成されていることもあり、初めは「岡田さんがいなくなっても大丈夫かな」とざわついていました。
田坂:
私の妻は、もともとは「男性が育休なんて取れないだろう」と諦め半分だったようですが、どうやら取れそうだということを伝えるとすごく喜んでくれました。
チームメンバーは育休取得に対してとても好意的でした。マネージャーの立場の人間が育休を取ると、下のメンバーも同じように取得しやすくなりますし、業務が属人的になることも防げます。実際に、チームメンバーからは「柔軟なチームであるという周囲に対するメッセージにもなるので、非常にありがたいです」と言われましたね。
――どのように業務を調整していかれましたか?
岡田:
休みに入る半年ほど前から、自分のナレッジをドキュメントに残しながら少しずつ引き継ぎ、他のマネージャーにもどんどん仕事を任せるようにしていきました。
一方、人がひとりいなくなる分を完全にカバーするのは難しいだろうと思っていたので、「育休を取るのでプロジェクトの進行が少し遅れます」と事前にビジネス職のチームにも了承を得て、引継ぎと進行スケジュールの調整を同時進行でおこなっていきました。
結果的にチームの雰囲気は「岡田さんがいなくても、なんとかしないと」という風になっていき、メンバーがオーナーシップを持つ場面も増えました。チームの皆さんにとても助けていただいたのと同時に、チーム全体としても成長できたように思います。
田坂:
私も、休みに入る前に業務分担と引継ぎは丁寧に取り組んでいきました。私はビジネス職で、日々の業務は「企画」と「オペレーション」の大きく二つに分けられます。
企画系の業務は休みに入る前にやり切り、タスクを残したり、問い合わせが来ないように心がけていました。オペレーション部分はチームメンバーがしっかり回してくれるので、育休中も問題なく業務が進んでいたように思います。
育休を取ったことで、家族の絆が深まった
――実際に育休を取得してみていかがでしたか?
岡田:
予測できないことがいろいろと起こるのだな、と感じた休暇期間になりました。というのも、我が家では育休取得直後に家庭内パンデミックが起きてしまい、自分も子どもと一緒に高熱を出して寝込んでしまう状況になりました。第二子も生まれた直後に体調を崩してしまってなかなか退院できず、2週間ほど不安な時期が続きました。育児は予想できないことの連続なのだと肌で感じる機会になりましたね。
第二子が無事退院したあとは少し生活も落ち着き、お風呂に入れたり、寝かしつけたりと、子どもの変化を毎日間近で見ることができました。第一子のときは仕事から帰ったら寝ていることがほとんどで、成長を感じる瞬間も正直少なかったんです。だから、それを身近で見られたのは非常に良かったなと思っています。
田坂:
率直に、今まで以上に子育てに向き合える時間ができてすごく幸せだったというのが一番の感想ですね。第一子のときも自分なりに育児には参加しているつもりで「自分もイクメンなのかな」なんて思っていました。でも今振り返ると、あのときの自分がやっていたのは、育児のごくごく一部。
今回育休を取ったことで、初めて上から下まで育児をするという経験ができました。朝起きて、上の子の朝ごはんと着替えをして、髪を結んであげて、保育園に送って掃除をして、帰って来たら晩ご飯、お風呂と一通り済ませて、自分の時間ができたころには23時です。これが本当の家事・育児なんだと気づかされましたね。
――育休を取って、特に良かったと感じたことを教えてください。
岡田:
生活リズムを家族みんなで作れたことです。新生児期は特にミルクの時間、寝る時間を整えるのが難しいですし、上の子がいるとより大変だと思います。育休を取ったことで、上の子と下の子のお世話を妻と分担できたので、リズムを作りやすかったですね。
また、下の子がなかなか退院できず、妻が精神的に参っていた雰囲気もありました。それを一緒に乗り越えられたことも、育休の良さだったと思っています。
田坂:
出産直後は、妻自身も体調を回復しなければいけないタイミングです。そんなときにひとりで子どもたちの育児をするとなると妻の回復も遅れていたはずなので、それをサポートできた点が良かったですね。
あとは、新生児期を一緒に過ごしたことで「妻と一緒に育児をするんだ」という意識が強くなって、絆が生まれた感じがします。もし育休を取らなかったら、その絆はもっと弱いものだったのではないでしょうか。
――ラクスルでは、育児休業日数の対象期間に応じて祝金を支給する「産育休復帰祝金制度」があります。この独自の制度についてどう思われますか?
※「産育休復帰祝金制度」とは
産前産後休暇または育児休業日数対象期間に応じて、会社が祝金を支給する制度。国の育児休業給付金(月給の3分の2)に加えて、会社からも支給(月給の3分の1)することで、実質全額が保障されるというラクスル独自の福利厚生です。社員が産前産後休暇または育児休業から復職した際に受け取ることができます。
岡田:
「おー、全額貰えるんだ。嬉しい!」と思いました。国の制度では育休中の給与はおよそ3分の2になってしまいますが、残りの3分の1を会社が補填してくれることで、手元に入るお金は働いているときと変わらなくなるため、ありがたかったですね。
田坂:
さらに、国からの手当の支給に比べて、ラクスルの祝金は振込がとても早かったんです。何かと物入りのタイミングに早く手当を支給してもらえるのは本当にありがたかったです。産休・育休中をふたりで取ると、足元の収入がなくなってしまうだけでなく、出産・入院で支出も大きくなります。そんなときに経済的な不安を少なくしてくれる制度があるのは心強かったです。
――最後に、今後のライフステージとして出産・育児を考えている人へのメッセージをお願いします。
岡田:
他の男性社員に対しても、育休を積極的に取りましょうと勧めていきたいです。新生児期は、子どもの成長の過程のなかでもとても大切な時期。そんな時期を一緒に過ごせるのは非常に貴重な経験だと思います。また、妻とたくさんコミュニケーションを取れるという点も良かったですし、そこは妻にも感謝されたポイントでもあります。
仕事を離れることには不安も感じるかもしれませんが、正直、チームメンバーがいれば仕事は何とかなる。「不安がらずに休んだ方がいいよ!」と伝えたいですね。
田坂:
私も、「男性育休、おすすめですよ」と強く言いたいと思っています。
これは妻から聞いた話ですが、赤ちゃんのころから父親が子育てにかかわることで、その先、数十年の父親と子どもの関係性がすごく良くなるそうなんです。
今は仕事に夢中になっている男性社員も多いかもしれませんが、赤ちゃんの時期にかかわることで、その先の仕事も家庭も充実するはずです。生まれたての貴重な時間を、ぜひ一緒に過ごしてほしいです。
男性の育休取得は、全国平均で見るといまだ約14%(厚生労働省「令和3年度雇用均等基本調査」より)に留まります。一方で、ラクスルでは2021年度は67%、2022年度には73%、その平均日数は34日間と高い実績を誇り、取得率も年々右肩上がりです。
ラクスルは、社員の平均年齢が約33歳と、ライフステージの変化に直面する年齢層の中核メンバーが多いという特徴があります。そのなかで、誰もが安心して長期で活躍できるような制度設計・運用を進めています。
今年3月には、「多様な人材・働き方を支援」「キャリアアップを支援」「貢献を賞賛」という3つの観点から拡充・整備した新たな福利厚生制度「カナエル(KanaL)」を導入しました。福利厚生の詳細は、こちらをご覧ください。
ラクスルはこれからも、仕事もプライベートも充実できる環境づくりに、より一層注力してまいります。