【FY21スタート】~ラクスルの成長ヒストリーと今後~
FY20を振り返って
ラクスルは2020年8月から12期目に入りました。新しい期が始まるにあたって、我々が何を目指しているか、どういう時間軸で、どういう世界を作りたいか改めてお話したいと思います。
まず、FY20の業績についてですが、215億円程度の売上となる見込みで、昨対25%の成長となりました。過去50%前後の成長でしたが、今回はコロナの影響により直近の半年間に関しては大きな動きはありませんでしたが、コロナ禍で継続して成長を維持することはできたと思います。これは、ラクスル事業がしっかりと成長したことに加えて、ノバセルやハコベルの2事業が力強く成長した結果であると思っています。
一方、売上総利益に目を向けてみるともう少し大きな成果が出ています。従来では売上成長が売上総利益の成長よりも高かったところから、今回は売上総利益の成長が売上の成長と同水準となりました。我々の事業価値の源泉は「売上総利益」であり、これは我々が様々な仕組みを変えていくことでてサプライヤーに価値提供をして、初めてうみだされるものなので、この売上総利益が売上と同じペースで成長をしたことは、FY20で成し遂げてきた大きな成果だと思っています。
2018年の期初にお話したことを、少し振り返ってみます。21世紀は大企業の時代であった20世紀からプラットフォームの時代になりました。2007年と2018年の時価総額トップ10企業(※)を見たときに2007年はほとんどがオイル、金融の会社でした。ITの会社はMicrosoftの1社だけでしたが、2018年にはApple、Amazon、Microsoft、Google、Facebook、Tencent、Alibabaと非常に多くのIT企業が、その中でもプラットフォームが台頭して来ている状況になっています。
大企業の時代というのは製販一体の産業構造、例えば物理で印刷機やトラックを持ち、独自の販売網を使って販売まで行う構造のことであり、結果として余分に獲得した受注を下請けに流していくピラミッド型の多重下請け構造を作り上げていました。この業界構造をプラットフォームに置き換えていく、小さいプレーヤーを結んで仮想的に一つの大きなキャパシティを作り、ダイレクトにそのキャパシティを使っていくこと、産業のプラットフォーム化を一気に進めることを我々は目指しています。
日本においては時価総額トップ10は2007年にトヨタ、MUFG、ドコモ、任天堂となっていたところが、10年経っても変わっていない状況です。しかし、2020年でいうとリクルートやM3という会社がトップ10を射程圏内にする位置まで来ました。おそらく次の10年においては日本もアメリカと同じようにソフトウェアの会社が産業の中心となってくると思っています。
これからのラクスル
2018年から2020年までの2年間で変化したことでいうと、我々はシェアリングプラットフォームのビジネスに加えてノバセルであれば「アナリティクス」、ハコベルであれば「コネクト」のようにシェアリングプラットフォームにソフトウェアによってお客様をエンパワメントしていき、産業の仕組みを変えていくというチャレンジをしています。
それも踏まえ、会社として何を目指しているかというと「産業インフラとなるプラットフォーム」を作っていくことです。スモールビジネスでなく、各事業が対峙する産業におけるプラットフォームになる、具体的には流通総額で1事業につき1兆円という規模感の事業になっていきたいと考えています。
これは「難しいのではないか」と思う人もいるかもしれませんが、私は明確にできると信じています。短期では難しいかもしれませんが、図に2037年とあるように長期の時間軸の複利の力を使えば可能であると思っています。
ここにある印刷・広告・物流の事業を行う大企業は、2037年も存在しているとは思いますが、これらの会社が全てインターネット化に対応し切れる事はないと考えています。実際、アメリカをはじめ、世界中でもオールドプレーヤーがデジタル化を押し切った事例というのはありません。世界を見渡しても、新しいスタートアップによって0から産業のインフラを作られていくことが例外なく起こっており、日本においてもデジタル比率が上がってくるときに、その産業のプラットフォームに「ラクスル」「ノバセル」「ハコベル」が存在していると思っていますし、その可能性を十分に秘めていると思っています。私は30年という時間軸でこのラクスルを経営しています。今後、もっとインターネットを使うようになっていく、労働人口の大半がデジタルネイティブになっていく世界において、長期の時間軸をかけることによって、複利の効果を取っていくことができると思っています。
どのようにして事業を作っていくかですが、まさにこれが「Raksul Style」です。「Reality」、「Sysytem」、「Co-Operation」。この3つをしっかりと押さえていないと成果がでない。社会のインフラになるプラットフォームを作っていこうとする上で、この3つが重要であるというのが、ラクスルの行動規範「Raksul Style」であると信じていますので、自分たちの手で仕組みを変えて世界をより良いものにしていきましょう。