
【イベントレポート】キャリアの壁を超える、外資出身者たちの選択 —外資セールスからスタートアップへ—
ラクスル株式会社 麻布台本社にて、「RAKSUL GROWTH LEADERS SUMMIT 外資セールスからスタートアップへ」が開催されました。
今回のイベントでは、外資系企業でトップセールスとして活躍してきた3名が登壇。なぜ彼らは安定したキャリアを手放し、スタートアップという未知のフィールドに飛び込んだのでしょうか。その背景や、転職後に直面した現実、さらには日系と外資系のカルチャーの違いなどを、本音で語り合いました。
登壇者
株式会社LayerX|Strategic Account Manager
渡邉 義史 氏
内資系 SIer に入社し、開発経験を積み、外資系製品ベンダーに転職。日本オラクル株式会社でプリセールスエンジニア、日本マイクロソフト株式会社で Cloud Solution Architect として活動し、Azure の拡販に従事。製品領域はオンプレからクラウド、インダストリーでは製造、流通、金融、公共等を幅広く担当。その後営業にロールチェンジし、株式会社セールスフォース・ジャパンで、Platform 製品営業を経て、トヨタ自動車様のアカウント営業を経験。2023年9月より、これまでの外資系 IT 企業でのエンタープライズ営業、プリセールスエンジニアの経験をもとに、株式会社LayerX で AI・LLM 事業の拡大に尽力中。
GO株式会社|法人事業本部 法人事業部 アカウントセールスグループ グループマネージャー
永野 恭平 氏
大学卒業後、SIer営業として新卒入社。その後、株式会社セールスフォース・ジャパンに10年半勤務。インサイドセールスやアカウント営業として経験を積んだ後、営業マネジメントや教育などにも幅広く携わる。2024年9月、GOへ。同年12月、アカウントセールスグループ グループマネージャーに就任。
ラクスル株式会社|デジタルサイネージ事業部 部長
近藤 賢志 氏
外資系SaaS企業でのエンタープライズ営業、大手Sierやスタートアップでの事業開発責任者などの経験を経て、2021年5月にRAKSULに入社。 入社後、事業インキュベーション部の部長としてラクスルの新規事業開発を担当し、オフライン販促のDXを行う事業の立ち上げからデータ活用した戦略的なオフライン販促の企画・提案まで行う 現在はデジタルサイネージの事業の立ち上げを行い、データを活用したオフラインマーケティングを企画提案している。
三者三様のキャリアと、それぞれの「営業」への向き合い方
——まずは自己紹介からお願いします。

渡邉(LayerX):
私はもともとNTTグループのNTTソフトウェア株式会社、現NTTテクノクロス株式会社に新卒で入社しました。ソフトウェア・情報システムの設計・それらに関わるコンサルティングなどを行う会社で福利厚生がしっかりしている、いわゆる“内資系の安定した会社”という感じでしたね。
そこから、日本オラクル株式会社(以下、オラクル)、日本マイクロソフト株式会社(以下、マイクロソフト)、株式会社セールスフォース・ジャパン(以下、セールスフォース)と、外資系企業(以下、外資)へとキャリアを広げていきました。
オラクルには10年ほど在籍していて、最初は東海エリアを担当していましたが、最終的には関東に異動して、金融や公共といった業界のお客様も担当しました。その後マイクロソフトに移り、外資らしいグローバルな空気を日本に持ち込むような経験もしました。
その後、2020年にLayerXに転職し、初めて営業にジョブチェンジしました。それまでは基本的にエンジニアとしてキャリアを積んできたのですが、「テクノロジー」と「営業」の両方の目線があることが、今の自分の強みにもなっていると感じています。
——現在のLayerXでのご担当領域についても教えてください。
渡邉(LayerX):
今は生成AIを活用した「Ai Workforce」というSaaSプロダクトを担当しています。LayerX自体は2018年に創業し、もうすぐ7年目。事業としては3つあり、請求書処理、経費精算、稟議申請、法人カードなどの支出管理をなめらかに一本化するバクラク事業、Fintech事業、そして私が担当するAi Workforceを始めとするAI・LLM事業が柱になっています。スタートアップ3社分のような事業を1社で抱えていて、まさに成長フェーズのど真ん中にあるような会社です。
——ありがとうございます。続いて永野さん、お願いします。

永野(GO):
はい。私は現在GO株式会社で法人営業部門のマネージャーをしています。現職で3社目になるのですが、キャリアのスタートはSIerでした。当時はリストに電話してアポを取って、ドアノックして、システムの話をもらってくるという、泥臭い営業を3年ほどやっていました。
その後セールスフォースに約10年在籍して、SMBとエンタープライズの両方を経験しました。後半はマネージャーとして若手育成や部門の立ち上げ、新規プロセスの設計など、組織づくりにも携わりました。
2024年9月から、現職であるGO株式会社に在籍しています。GOと聞くと、「タクシーアプリ」というイメージがあるかもしれませんが、実はBtoBの法人向けサービスも展開しています。『GO BUSINESS』というサービスでは、タクシー利用後の経費精算を請求書払いで完結させる仕組みを提供しています。3年間で1万2000社以上(2025年6月時点)にご利用いただいています。移動にまつわる面倒な業務を減らし、法人の“移動改革”を支援するというのが我々のミッションです。
——最後に、近藤さんお願いします。

近藤(RAKSUL):
私はちょっと異色で、新卒として企業に入社せずにミュージシャンをしていました。その後、中国系の外資に入り、セールスとしてエンタープライズ領域の担当を経て、セールスフォースに転職しました。
セールスフォースではアカウントエグゼクティブとして、営業の第一線で働いていました。そこからご縁があって、ベンチャー企業のCMOとして事業開発に挑戦し、2021年にRAKSULへBizDevとして入社しました。
RAKSULといえば「印刷」「紙媒体」のイメージが強いと思います。一方で私は今、「紙の広告ってどれだけ効果があるの?」という問いから始まったプロジェクトを経て、「オフライン販促 × デジタル」の文脈でデジタルサイネージ事業を立ち上げています。
デジタルサイネージとは、エレベーターや病院、トイレなどにある液晶モニターのことです。ただ、実際に出稿するとなると、何社も問い合わせが必要だったり、契約が煩雑だったりします。そこをもっとシンプルにして、デジタルサイネージをメディアとして使っていただきやすい環境を提供するという役割を担っています。
従来のオフライン広告は、効果が見えにくく、データ活用が課題でした。そこで私たちは、来店者の移動経路を可視化し、広告からの来店状況や居住エリアといった人流データを分析することで、データに基づいた効果的なオフライン広告の実施を可能にする仕組みを提供しています。
まずはスタートアップで活躍するには?外資系企業出身の武器と新たな学び

——ここからは「スタートアップで活躍するために必要な視点」についてうかがっていきます。まず、皆さんの前職である外資系企業と、今のスタートアップでの違いについてどう感じていますか?
近藤(RAKSUL):
もっとも大きな違いは、やはり「やらなきゃいけない範囲の広さ」ですね。外資はやるべきことが明確で、役割分担もきっちりしています。一方スタートアップは、その“正解”が存在しない中で、自分で考えて、自分で動く必要があります。
永野(GO):
まさにそうですね。外資では「これをやれば成果が出る」っていう道筋が決まっているし、そこから外れれば成果が出なくなるケースがほとんどです。だから「決められた手順を守って愚直に行動できるか」が前提の環境です。ルールの中で必死に行動すれば成果が出る、という点ではやりがいを感じやすいのですが、私の場合は、何年も同じことを繰り返すうちに「このままでいいのか?」というモヤモヤが生まれてきたんですよね。
——マネジメント視点で見ると、「ルールに則って動けば成果が出る」というのはすごい仕組のようにも感じます。具体的には、どのような役割定義やKPI設計がなされていたのでしょうか。
永野(GO):
スタートアップはまず「今、自分がどこにいるのか?」を自分で特定するところから始めなければなりません。一方外資は、そこすらも上から降りてくる。今の立ち位置、KPI、手段、全部が既に整備されているんですよね。
近藤(RAKSUL):
本当にそうですね。商材も決まったものがすでに存在しているし、リードもある程度流れてくる。営業としては「どうクロージングするか」に集中すればよく、現在地を振り返るような時間がなくても立ち上げられてしまうという側面はあると思います。
渡邉(LayerX):
外資系を渡り歩いてきましたが、売っている商材は変わっても、やっていることは変わらないんですよね。上から数値が降りてきて、それをどう売るか、どう説明するか。その“やり方”の型は整っていて、ある意味ではすごく洗練されていました。
スタートアップとのもっとも大きな違いは、商品やサービス、ブランドの「知名度」。外資にいたときは、お客様がこちらの会社名を知っていてくれたので、話しがしやすかったんです。でもスタートアップは、まずサービスの名前すら知られていないことがほとんどなので、アポ取りから提案、クロージングまで、すべてのステップに手間がかかるんです。
——そう考えると、スタートアップでの営業はより“自走力”が求められそうですね。
渡邉(LayerX):
そうですね。ただ、「自走力が求められるスタートアップでは、型が決まった外資での経験は意味がない」というわけではありません。「こういうふうに仕組みを作れば、売れる」という成功パターンを知っているからこそ、知見を活かしてスタートアップでゼロから作りに行ける。それが、外資からスタートアップに移る面白さでもあると思います。
永野(GO):
おっしゃる通り、「型を知っている」こと自体は強みだと思います。ただ、それをスタートアップにそのまま持ち込んでも、必ずしも上手く機能するわけではありません。そこが難しさでもありますね。
近藤(RAKSUL):
正直な話、外資で学んだ様々な手法やノウハウを、次のベンチャーでは中々活かすことができませんでした。外資の手法は非常に洗練されていたため、当時はPDCAを回して改善していく必要がなかったんですよね。
そこから試行錯誤を重ねて自分に合った方法を見つけていかなければならない環境へと移ったのは、大変ではありましたが、ポジティブな変化でした。
外資で一般論を学び、スタートアップで環境に合わせてカスタマイズしていく力がついた。この二つの経験がセットになって初めて、自分にとっての強力な武器になったと感じています。
——率直に、外資を経験してよかったと思われますか?
3人:
よかったです。
近藤( RAKSUL):
特に、営業のレベルの高さを知れたのは大きかったです。磨き込まれた営業というものに素直に感動しました。特にセールスフォースという営業ではトップクラスの会社に在籍できたのは、良い経験になっています。
永野(GO):
とても共感します。セールスフォースにまだ知名度がない頃から在籍していたのですが、あの頃に周りにいた営業たちのレベルの高さは、本当に刺激的で価値のある経験でした。
渡邉(LayerX):
結果を大きく超えたときの報酬インパクトにも驚かされましたね。数値目標への責任はもちろん大きいのですが、クリアしたときのリターンの大きさも外資ならではだなと思いました。
——まさに、外資の仕組み化とスタートアップの混沌、その両方を体験している皆さんだからこそ語れるリアルですね。
これからの10年をどう描く?AI時代のキャリア戦略

——最後に、今後10年を見据えたキャリアについて聞かせてください。もし10年前に戻れたとしたら、今とは違う選択をしたと思いますか?
渡邉(LayerX):
当時のキャリア選びの視点は「その道に進んだ先で、転職しやすさや選択肢が広がるか」みたいなところだったと思います。でも今なら間違いなく“クラウドビジネス”の可能性に注目していたはずですね。
とはいえ、クラウドだけをやっていても差別化が難しく、これからは「クラウド×データ×AI」を掛け合わせて、新しい価値を生み出せる企業が強くなっていくのではないでしょうか。セールス職に就いていたとしても、データを起点にお客様の業務変革にどうつなげるか、という発想が求められると思います。実体験や勘ではなく、データを活用して提案できるようになると、仕事の幅は一気に広がる。生成AIの普及で業務改革が加速していく中、早くその波に乗れるかどうかが、今後のキャリアにとってすごく大きいんじゃないかなと。
永野(GO):
私は、10年前に戻るとしてもやっぱり外資を選んでいたと思いますね。当時はちょうど結婚のタイミングで、市場価値や給与を上げる必要に迫られての転職だったので、現実的に外資の選択はベストだったかなと。
ただ、「20代」という括りで考えると、10年も外資にいる必要はなかったかもしれません。型を学び、外資で得られる営業スキルや仕組みの理解は重要ですが、それをどこでどう活かすか、もっと早く次のステージに移ってもよかったかもしれないと思います。
私は転職する前からクラウドやAIに関われていたので、市場の解像度が高い状態で外に出ることができましたが、それらの経験を必ずしもずっと同じ場所で積み続ける必要はなかったようにも思います。外資とスタートアップ、それぞれで鍛えられる“筋力”は違うので、自分が目指す方向に合わせて早めに切り替えるというのも、一つの選択肢だったかなと思います。

本編終了後は質疑応答が行われ、「外資との文化の差は?」「外資からSUに行く際には給与は下げた?」「外資の経験をSUに還元する際に苦労したことは?」など、転職のリアルを問う質問が多く寄せられ、さまざまな気づきを得られる時間となりました。
RAKSULでは、エンタープライズ事業をはじめ、さらなる事業成長・変革を共に担うメンバーを全社で大募集中です。
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