【ラクスル事業の裏側を解説!Vol.5】テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例②~スピードデータチェック編~
ラクスル事業は「印刷のシェアリングプラットフォーム」を構築し、産業構造の変革に取り組みながら、“はたらく人をラクにするカスタマイズECプラットフォームをつくる”というミッションのもと、印刷・集客支援サービスを展開しています。
これまで、多重下請け構造や煩雑な校正入稿プロセスをはじめ、印刷会社とユーザーの2方面にかかわる課題を「仕組みを変える」ことで解決し続けてきました。
本連載では、ラクスル事業の運営の裏側で何を課題と捉え、“半自動化”をキーワードに効率化できるシステムをどのように開発・運用してきたのかを、事業・組織拡大の変遷とともに解説します。
また、今後さらに向き合いたい領域とあわせて、ラクスル事業ならではの働く魅力やチャンスに関しても取り上げていきます。
本記事では、事業躍進の裏にある、高度なIT技術を駆使して実現してきた印刷領域のさまざまな「仕組みを変えた事例」のなかから「スピードデータチェック」について紹介します。
スピードデータチェックとは、印刷の工程で発生する「データチェック」という人力作業を自動でおこなえるようにした仕組みです。
通常、ユーザーが印刷ECで発注する際の、印刷物納品までの工程は次の通りです。
まず、商品を選んで購入後、入稿・データチェックを経て確認結果を受信します。必要に応じて修正をし、再度の入稿・データチェックの後に、内容に問題がなければ印刷工場にデータが送られ、納品されるという流れです。
スピードデータチェックを開発した2017年以前、ラクスル事業では、全商品のデータチェック工程をDTPオペレーターという専門スタッフによる手作業で対応していました。
作業内容は、ユーザーから上がってきた入稿データを一つひとつダウンロードし、専用ソフトを使用して、RGBからCMYKへの色の変換、細すぎる線や切れそうな文字の調整など、印刷するのに適した状態に加工するというものでした。
印刷にあたってデータ修正が必要なケースも多々あるため、その場合はユーザーに修正を依頼し、再入稿されたデータをもう一度ダウンロードして加工作業をおこないます。
人力に頼ったオペレーションのため、1回のデータチェックのやり取りには、半日から1日もの時間を要していました。また、修正が必要になった場合は、さらに半日から1日が掛かってしまいます。
ユーザーにとって長い待ち時間が発生するとともに、いつ印刷物が納品されるかを把握できないという状態が起こっていたのです。
この購入体験のマイナス面に課題意識を持ち、自動化できるシステムを開発するに至りました。
スピードデータチェックを開発・導入した結果、公序良俗や著作権にかかわるものをはじめ、必ず人の目を介して確認しなくてはならない項目などを除き、これまでDTPオペレーターが従事してきたデータチェック作業の7割以上をシステムで自動処理できるようになりました。
やり取りに半日から1日もの時間が発生していた工程が、最短およそ20秒で済み、ユーザー自身で仕上がりイメージをチェックできるようになったことから、待ち時間の大幅な短縮につながり、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現することができたのです。
【連載一覧】
Vol.1 キーワードは“半自動化”。ラクスル事業のサービスはこんな風にできている!
Vol.2 プロダクト開発は、職種を越えた連携プレーで進行。その開発体制をご紹介!
Vol.3 ローンチから10年。ラクスル事業成長の軌跡をたどる!
Vol.4 テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例① ~オンラインデザイン編~
Vol.5 テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例②~スピードデータチェック編~ ★
Vol.6 テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例③ ~最適発注編~ ←Next
Vol.7 領域拡張、海外進出…ラクスル事業が今後目指す先とは?