【ラクスル事業の裏側を解説!Vol.4】テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例① ~オンラインデザイン編~
ラクスル事業は「印刷のシェアリングプラットフォーム」を構築し、産業構造の変革に取り組みながら、“はたらく人をラクにするカスタマイズECプラットフォームをつくる”というミッションのもと、印刷・集客支援サービスを展開しています。
これまで、多重下請け構造や煩雑な校正入稿プロセスをはじめ、印刷会社とユーザーの2方面にかかわる課題を「仕組みを変える」ことで解決し続けてきました。
本連載では、ラクスル事業の運営の裏側で何を課題と捉え、“半自動化”をキーワードに効率化できるシステムをどのように開発・運用してきたのかを、事業・組織拡大の変遷とともに解説します。
また、今後さらに向き合いたい領域とあわせて、ラクスル事業ならではの働く魅力やチャンスに関しても取り上げていきます。
今回からは、事業躍進の裏にある、高度なIT技術を駆使して実現してきた印刷領域のさまざまな「仕組みを変えた事例」を1つずつ紹介していきます。
全ての事例に共通するポイントは、“半自動化”の実現です。
ラクスルでは、10年単位の時間軸でビジネスを捉え、数兆円規模のトランザクションを半自動化することにより、生産性を飛躍的に高めることに重きを置いています。プロダクト開発における半自動化の手法は、大きく分けて次の2つです。
①神業bot化
工程を分解して、自動化しやすい工程から部分的に着手し、最適化していく手法
②セルフサービス化
ユーザーエクスペリエンスを徹底的に磨き、ユーザー自身で工程を完結いただく手法
この事例紹介では、神業bot化の例として「最適発注」を、セルフサービス化の例として「オンラインデザイン」「スピードデータチェック」を取り上げます。
まずは、「オンラインデザイン」についてです。
オンラインデザインとは、印刷物のデザインデータをオンラインで簡単につくれる仕組みです。
通常、ユーザーが印刷物をつくるためには、誰に向けてどのような情報を載せるか企画し、それをデザインに落とし込み、発注先を決めて商品を選ぶというプロセスを踏みます。
オンラインデザインを開発した2017年以前、「ラクスル」は、発注のプロセスしか持たない印刷ECでした。ここに「デザインデータをつくる」というプロセスのサービスを新規に加えることで、「企画はあるけれどデザインデータがなく、印刷発注先も定まっていない」というユーザーのニーズを満たすことができるのではないかと考え、オンラインでデザイン制作ができる機能開発をするに至ったのです。
さらに、あらゆる業種のユーザーが、制作した印刷物を通じてさまざまな属性の人々に届けたい情報を魅力的に訴求できるよう、誰もが簡単にハイクオリティなデザインデータをつくれる仕組みづくりにも注力。
ユーザーのニーズに対する解像度を高めながら、自由な組み合わせで思い描くオリジナルのデザインを作成できるようにと、素材の種類を拡充してきました。現在のオンラインデザインでは、4,000点以上のテンプレートや2,000万点以上の写真・イラスト、49種類のフォントなどを無料で提供しています。
こうして、高度な専用ソフトをユーザーが自前で持たなくても、ハイクオリティかつネット印刷の入稿様式に沿ったデザインデータを作成できるようになったことから、オンラインデザインを利用した受注の割合は年々上昇しており、商品ジャンルによっては半数近くにのぼります。
オンラインデザインを開発・導入したことで、デザイン制作から印刷発注までをワンストップで提供できるようになり、よりユーザーにとって便利なサービスへと成長を遂げたのです。
【連載一覧】
Vol.1 キーワードは“半自動化”。ラクスル事業のサービスはこんな風にできている!
Vol.2 プロダクト開発は、職種を越えた連携プレーで進行。その開発体制をご紹介!
Vol.3 ローンチから10年。ラクスル事業成長の軌跡をたどる!
Vol.4 テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例① ~オンラインデザイン編~ ★
Vol.5 テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例②~スピードデータチェック編~ ←Next
Vol.6 テクノロジーで業界の仕組みを変えた事例③ ~最適発注編~
Vol.7 領域拡張、海外進出…ラクスル事業が今後目指す先とは?