2023年卒 選考振り返り座談会 ~Biz職編~
ラクスルグループ(以下、ラクスル)の選考には「ワークサンプルテスト」と呼ばれるフローがあります。Biz職におけるワークサンプルテストとは、実際の業務テーマに近しい課題に取り組み、社員とのディスカッションを通じて、物事に対する考え方やスキルがフィットするかを双方で確認するものです。
今回は新卒Biz職にフォーカスし、採用担当とともに、3名の新卒社員にワークサンプルテストをはじめとするラクスルでの選考について振り返ってもらいました。
小倉 由佳理
Yukari Ogura
新潟大学教育学部を卒業後、2023年4月、ラクスルに新卒入社。
ラクスル事業本部に所属し、カテゴリーマネージャーの役割を担っている。
安藤 蒼眞
Soma Ando
同志社大学法学部を卒業後、2023年4月、ラクスルに新卒入社。
ノバセル株式会社に所属し、SaaS事業部にてカスタマーサクセスを担当している。
今井 雄太
Yuta Imai
東京大学文学部を卒業後、2023年4月、ラクスルに新卒入社。
ノバセル株式会社に所属し、SaaS事業部にてマーケティングを担当している。
小林 光太郎
Kotaro Kobayashi
2019年に大学を卒業後、株式会社Legaseedに新卒入社人事コンサルティングや事業開発に従事した後、2021年7月にラクスルへ転職。現在は新卒採用担当として、ビジネス職の採用に携わっている。
高い成長性で業界を変えていけるビジネスだったことが、入社の決め手
――3名は、2023年4月にBiz職として入社されています。今、担当されているお仕事と、ラクスルグループに入社を決めた理由を教えてください。
安藤:
僕はノバセル株式会社に所属し、SaaS事業部でカスタマーサクセスを担当しています。既存のお客様に対して、CMのデータ分析、改善ポイントなどをお伝えし、より効果的にCMを流すためのサポートを行っています。
僕は大学1年生のときから人材紹介会社でインターンをしていました。その会社の商談で、ラクスルのDirector of HRの大原さんとお会いすることになったのが、初めてラクスルを知ったきっかけです。商談前の準備として会社について調べていくうちに、「ラクスル、すごく面白そうだな。新卒採用の枠があるなら受けてみたい」と思うようになり、選考に進むことを決めました。
特に惹かれたのは、ラクスルが複数のプロダクトをヒットさせていたこと。年間130%成長を目指すと公言していたので、若手にもチャンスが多そうなラクスルで働きたいと思うようになりました。
今井:
僕もノバセル株式会社に所属していて、SaaS事業部でマーケティングを担当しています。テレビCMを放映しているお客様が自社の売上を最大化できるよう、最適なアプローチやコンテンツを考えています。
僕は大学2年生のころからアフィリエイトの会社でインターンをしていました。アフィリエイトは短期的には利益が出やすいビジネスモデルですが、短命に終わってしまうことも多くあります。長い時間軸で業界を変えていける事業に挑戦したいと考え、3年生からノバセルでインターンをすることにしました。約2年のインターン期間を経て、2023年4月に新卒で入社しています。
小倉:
私はラクスル事業本部で「カテゴリーマネージャー」と呼ばれる役割を担っています。売上が10億円程度の規模の商品カテゴリーを任せてもらい、どうすればもっとお客様に使ってもらえるのか、お客様にとって価値のあるものを提供できるのかを考える仕事です。
ラクスルに強く惹かれたのは、CEOの松本さん、COOの福島さんが登壇する新卒イベントに参加したとき。ビジネスモデルや会社の成長性について話す企業が多い中で、お二人は経営理論を語っていて、印象的でした。長い目で見て事業を作れること、世の中の仕組みを変える難しいチャレンジができることに魅力を感じて、ラクスルを志望しました。
ワークサンプルテストは単なる選考ではなく「一緒に事業を磨いていく時間」
――新卒Biz職の選考フローを教えてください。
小林(人事):
選考のフローは大きく分けて二つあります。一つは、「書類選考→一次面接→ワークサンプルテスト(二次面接相当)→三次面接→最終面接」の5つのステップを経て入社が決まるものです。こちらは全て個別かつオンラインで行われます。
もう一つが、長期インターンを介するもの。インターン自体がワークサンプルテストと同様の機能を果たすため、このフローの場合はワークサンプルテストは実施しません。
ここにいらっしゃる3名の中では、安藤さんと小倉さんがワークサンプルテストを含んだ前者、今井さんが長期インターン経由の後者に当てはまります。
――ワークサンプルテストを実施していることが、ラクスルの選考の大きな特徴に感じます。このテストの概要と実施のねらいは何でしょうか。
小林(人事):
ワークサンプルテストは、全体で3時間半の時間を設け、3時間でテーマに関するリサーチと企画を、10分間で社員に向けてプレゼンを行い、その後20分間で社員と議論をしていただくものです*¹。出題テーマは、実際の業務に関連する内容になっています。
候補者にとっては「社員と仕事を進めるイメージが持てるか」「入社後に取り組む業務に近い課題を体験してもらい、ミスマッチが無いか」を考えてもらう機会、ラクスルにとっては「候補者の仕事の進めや方や考え方を見て、働くイメージがマッチするか」を判断する機会になると考えています。
――安藤さんが取り組んだワークサンプルテストは、どんなテーマで、どのように進めていきましたか?
安藤:
僕は「世の中にあるサービスを選んで、テレビCM戦略を考えてください」というテーマを渡されました*²。当時急成長していて、インターンとして関わっていた電動キックボードのシェアリングサービス(以下、A社)について考えようとすぐに思い付きました。そのため、時間の大半を「どのような戦略でCMを放映していくか」を考えることに使いました。
――どんな戦略を考えたのでしょうか?
安藤:
リサーチを進める中で、テレビCMには大きく分けて2種類のモデルがあることを知りました。一つが、番組の途中で「この番組の提供は…」と流れるタイム型のもの、もう一つが、期間や視聴率をもとにスポットでCM枠を買うスポット型のものです。
A社はスタートアップ企業のため、まだ大きな予算がかけられないと想定し、スポットを選択。放映地域を関西に絞り、朝か夕方に放映したい。そして、CMの中で伝えるメッセージはこの2つが良いのではないか、と提案しました。
――社員からのフィードバックはどのようなものでしたか?
安藤:
同席してくれたノバセルの社員は、前職で中国赴任経験がある方でした。当時の中国ではシェアサイクルが流行っていたものの、黒字化せずにクローズするサービスが多かったと指摘され、「同様のサービスがテレビCMに費用を割けるのかな?」と問われました。それに対して僕は、インターンを踏まえた前提知識をもとに話しました。
この時に社員が、リアルな数字や事業フェーズをきちんと捉えた状態で問いを投げかけ、一緒にブラッシュアップしてくれたことで、実際のビジネスでも、高い視座と解像度を持って推進していくことが必要だと改めて気付かされるきっかけになりました。
――フィードバックを受けて戦略をブラッシュアップできただけでなく、ビジネスへの取り組み方に対する気付きも得られたのですね。小倉さんのワークサンプルテストはどんなものでしたか?
小倉:
私が渡されたのは、「伝統的な産業をITの力で変革する内容を考えよ」でした。「伝統的な産業」の定義付けも市場選定も自分で行い、そこにある課題と、その解決策を考えるものでした。
目を付けたのは、建設業界です。建設業界は、ラクスルが携わる印刷業界と同様に大手の寡占市場で、多重下請け構造になっています。それを解消するために「現場で働く方の業務がラクになり、生産性の改善につながるツールがあれば良いのでは?」と考えました。でも、現場から業界を変革するのは難しい。だから、DXツールをプロダクトとして現場に売るのではなく、ゼネコンに導入してもらおう、といった内容のプレゼンをしました。
――ラクスルが携わっている領域と似た構造の業界を見つけ、解決策を提案したのですね。とても良いアイデアのように思えますが、どのようなフィードバックがありましたか?
小倉:
「本当にそれが正しいのかな?」。フィードバックとしてもらったその言葉がとても印象的でした。私は「現場のDXは現実的ではない」と判断したため、ゼネコンへの導入を提案しました。でもそれは実現可能性が低いからという諦めから生まれた代替案でもありました。社員の皆さんは代替案で出したアイデアを鋭く突いて「本当にあるべき状態を考えよう」と一緒に議論してくれました。その真剣な姿に、すごくワクワクしたのを覚えています。
――ワークサンプルテストの中で印象的だった出来事はありますか?
安藤:
フィードバックの中で印象的だったのは、「事業開発も含めてマーケティングである」という話です。僕が提案したA社のテレビCMは、電動キックボードを使うカスタマー向けのアプローチでした。でもビジネス全体を考えてみると、キックボードのポートを置いてくれるお店を増やすことが必須であり、お店に対してのコミュニケーションも必要だよね、と言われたんです。
「マーケティング」と聞くとどのようにお客様にものを買ってもらうかだけを考えるイメージがあるかもしれません。一方で、それだけでなく、事業開発全体の目線を持ってマーケティングについて考えられるといいねと言われて、すごく腹落ちしたのを覚えています。
小倉:
私は、社員の皆さんが一緒に考えてくれたことが印象的でした。他社でも事業戦略を考えるインターンを経験しましたが、どちらかといえば能力を試されるような印象で、問いをもらってあとは自分で考える形でした。
しかし、ラクスルのワークサンプルテストは単なる選考ではなく、どうすれば提案した事業が良くなるのか、もっと磨かれるのかを社員が一緒に、真剣に考えてくれる。きっと入社した後も、そんな風に皆で一つのことに向かっていけるのだろうなと感じました。
インターンをしてきたからこそ、Day1からフルコミット可能な状態で入社できた
――安藤さん、小倉さんと違い、今井さんは大学3年生のインターン時からラクスルとの強い接点がありますよね。当時から社員との関わりはあったのでしょうか?
今井:
そうですね。今、自分が担当している領域は、インターン時代から継続して携わっています。当時からこの領域を担当するメンバーは一人か二人だったので、インターンながら、なんでも自分で決めなければ事業が前に進んでいきませんでした。いろんな社員の方から助けを借りて、一緒に仕事を進めていました。
――ワークサンプルテストを経るフローと、長期インターンのフローで、どのような違いがあると感じましたか?
今井:
インターンを経験していると、ラクスルやノバセルの事業がどういうものなのか、関わる人たちがどのような人なのかを理解したうえで入社できます。そのため、会社に対する解像度は、入社時点で高かったように思います。
他に良かったのは、ドキドキした状態ではなく、完全に「やるぞ!」と腹を括った気持ちでスタートを切れたこと。インターンを通して会社のリアルを知り、しっかりと「ここで成果を上げる」と腹を決めて入社しているので、4月の時点から迷いなく、全力でコミットメントができています。
――インターンの中で印象的だった出来事はありますか?
今井:
僕はインターン中、ノバセル代表の田部さんにフィードバックをもらう機会が多くありました。2023年の年初、とある大規模なコンペに勝ったあとの飲み会で、田部さんにどのようなマインドで事業に向き合っているのかについて「従業員、株主、家族の人生を背負っている意識があるから、最後までやり切れる。営業の場面で、自社のプロダクトの価値をお客様に対して真摯にお伝えし、魂を乗せて売ることができる」という話を伺いました。
この話を聞いて、田部さんの普段の姿の裏側にある、事業家としての覚悟の深さを感じました。事業家として重要なのは、単純なスキル以上に「事業のすべては自分の責任領域だ」と背負う覚悟であると気付き、自分の考え方が大きく変わるのを感じました。
僕には、長くインターンをしていても、会社で起こる多くのことを他人事として捉えてしまう部分がありました。でも、「この領域の責任は、全部自分が背負う」と言い切る領域を増やすことが、事業家としての成長なのだと腹落ちしたんです。その話があったからこそ、覚悟を持った状態でノバセルに入社できたように思います。
選考・インターンでの経験が、今の仕事に活きている
――選考やインターンでの経験が、今の仕事にどのようにつながっているか教えてください。
安藤:
求められていることに対して期待以上の成果を出す。そのために、しっかり準備をする。そんなスタンスが鍛えられたように思います。
たとえば今の業務では、お客様に対してテレビCMのデータを分析・レポーティングしていますが、それをこなすだけだと「ただレポートを作る人」になってしまいます。そうではなく、このレポートに対してお客様が期待していることは何なのかを考え抜き、資料の細かな部分にも工夫を凝らしてみたり、お会いする前に過去のログを徹底的に読んで準備してみたりする。期待されている以上の成果を出すマインドは、ワークサンプルテストに挑戦したころから変わらずに持ち続けています。
小倉:
私は、最終面接でノバセル代表の田部さんからもらったフィードバックを今も強く意識しています。選考の中で自分のやりたいことを田部さんに話したときに、「仕組みを変えていきたい、産業構造を変えたいと言ってくれているけれど、『お客様』って言葉が1度も出てきていないね」と言われたんです。そして、お客様に向き合うことが一番の出発点だよと伝えられました。それが今でも心に残っていて、「お客様にとっての価値が何なのか」を常に考えるようにしています。
今井:
僕の場合はインターン時代の業務と今の業務がほとんど変わらないので、インターンの経験はそのまま活きていますね。あえて言うとすれば、インターンの時期にノバセル全体がどうなっていくのかを理解したうえで、「何年後にこうなる未来を描いているから、今はこれに挑むんだ」と思考を巡らせられるようになったこと。未来を想像しながら、足元の業務に全力で取り組めているのは、インターンの経験があったからこそです。
――最後に、皆さんから大学生に向けて一言お願いします。
安藤:
3年生になったら当たり前のように就活をするもの…そんな意識で就活を始める人も多いと思いますが、僕はぜひ「なぜ新卒で就活をするのか」から考えてみてほしいなと思っています。ラクスルの選考は、ワークサンプルテストも面接もあり、正直楽ではありません。途中で諦めてしまわないためにも、なぜ就活をするのか、なぜラクスルに入りたいのかにきちんと向き合ってもらえると良いと思います。
小倉:
24卒や25卒の大学生から「ラクスルは既に事業規模が大きくなっているので、変化の少ない整った組織なのでは?」という声をもらうことがありますが、そんなことはありません。ラクスルには、挑戦の機会も向き合う課題もたくさん転がっているので、まずは受けてみてほしいです。
今井:
魅力的だと思った企業のインターンに応募してみるだけでも学びが多いと思います。迷わず飛び込んでほしいですね。ノバセルも積極的にインターンを採用中なので、お待ちしております!
小林(人事):
今回はワークサンプルテストを中心に選考のお話をしてきましたが、実はワークサンプルテストでのファーストアウトプットは最重要事項ではありません。それ以上に大切なのは、選考全体でフィットするかどうかというところ、ワークサンプルテスト単体では、アウトプットに辿り着くまでにどんな思考がなされていて、フィードバック後に新しい切り口をどのように取り入れ、次の議論に発展させてもらえるのかというところです。
間違いなくご自身の成長につながると思いますので、少し重いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、ぜひ積極的に挑戦していただけますと幸いです。
*¹:ワークサンプルテストの実施形式は、現時点のものです。
今後変更の可能性もございますので、予めご了承ください。
*²:この課題は、2023年6月現在は利用しておりません。