
自身発案の新サービスで「プロダクトを通して価値をつくる」を体現したい
ラクスル事業本部 プロダクトマネージャー
武政 成彦
Norihiko Takemasa
これまでのキャリア
私は「プロダクトを通して価値をつくる」ことをキャリアの軸にしてきました。
学生時代は美大で車や家電、日用品などのデザイン設計を行う工業デザインを専攻していました。正解のない領域で自分で課題を設定して答えを作ることが得意だったので、寝食を忘れてデザインに没頭していました。
大学卒業後は調理用品のメーカーで、世界で最もブランド力のあるキッチンナイフを担当する機会に恵まれした。いくら売上を作るのか?誰の問題を解決すればその売上は作れるのか?高級品として日用品の10倍の対価をもらう価値は何か?ユーザーにとって使いやすい状態とはどんな変数で成り立つのか?審美性と経済性に優れる材料や加工は何か?広告費を抑えて利益率高く展開できる販路とは?…など、売上計画、商品企画、プロダクトデザイン、量産設計などものづくりの上流から、お客様の手に届くまでを手がけることができました。ただプロダクトとして非常に成熟した分野だったため、この時代に自分がこの仕事に取り組む意義は高くはないな、という感覚は常に持っていました。
時代によって人々の生活文化が大きく変わる「力点」となる出来事や技術が生まれることがあります。ちょうどAppleからiPhone3Gが発売された頃に、現代の「力点」があるとすればITだなと漠然と感じていました。当時は提供されるサービスやアプリデザインの品質は今と比べられないほど低かったですが、小さな力を加えれば、大きく社会が動いていくことに可能性を感じました。
その後はキャリアは徐々にITに寄せていきラクスル入社前は3Dプリントのプラットフォームで「ものづくり × IT」の領域で事業開発をしていました。パートナーをネットワーク化して仮想工場をもつラクスルと近いビジネスモデルでした。3Dプリントというまだコモディティ化していない技術を既存の製造業やエンタテイメントの世界に普及させていくのは、難しさはありましたが非常にやりがいのある仕事でした。

ラクスルに入社した理由
「新しいデザインサービス」を立ち上げからやらないか?という形で声をかけていただいたのがきっかけです。
ラクスルの主要商品であるチラシやパンフレットなどのグラフィックデザインといえば、1人のクライアントのために成果物をフルオーダーメイドして対価をいただくのが一般的なビジネスモデルです。小さなクライアントにとっては非常に取引コストが多い課題があります。私はもともとプロダクトデザイナーとして、同一デザインを大量生産して多くのユーザーに届けること仕事をしていたので、グラフィックデザインのビジネスモデルは非効率的に思っていました。
「ユーザーの最大公約数を形にするプロダクトデザインの思想を、オーダーメイドが主流のグラフィックデザインに適用する。デザインを誰でも使える道具に変える」社会的にもそういったサービスはないので「これはいま実現すべき仕事だ」と入社を決めました。
ラクスルの「仕組みを変えれば世界はもっとよくなる」というビジョンにも非常に共感しました。
ラクスルでの仕事
2017年3月入社後、現在はデザインサービスの責任者をしています。
印刷事業には大きく、企画デザイン、印刷、集客という3つのバリューチェーンがありますが、その「企画デザイン」の仕組みを変えるところが担当領域です。現在ラクスルではオンラインデザインとらくらくデザインという2つのデザインサービスを提供しています。
「誰でも簡単に印刷のための入稿用データが作れるようになるためは?」という課題設定のもと、私自身は事業開発やプロダクトマネージャーとして、デザイナーやエンジニアと共にプロダクトやコンテンツ開発に取り組んでいます。前者の「オンラインデザイン」ではラクスルに入稿されるデータのよくある業態や用途をテンプレートとして標準化して提供し、後者の「らくらくデザイン」では標準化したデザインを、デザイン作業が不得意な人でもできるように制作を半自動化するプロダクトとして提供しています。
誰でも簡単に印刷のための入稿用データが作れるようになることで、対ユーザーという観点では予算・スキル的にデータが作れず印刷できなかった人が印刷できるようになり、対事業においては新規獲得やリピート率向上に寄与しています。
これまでの仕事で印象に残っているのは、自らが提案し立ち上げた「らくらくデザイン」です。元々私が入社したときにあったのが「オンラインデザイン」で、そのユーザビリティ向上をミッションとしていたのですが、突き詰めていくとテンプレートの提供だけでは救えないユーザーが一定数いることが分かってきました。そこで、これまでの「オンラインデザイン」にはない新しい発想のプロダクトの必要性を感じたのです。今までにはないコンセプトのプロダクトということもあり、課題は明確とはいえ要件定義や実装に苦労する部分もありましたが、「プロダクトを通して価値をつくる」を体現する自身の代表作に育てたいと思っています。
ラクスル株式会社について
ラクスルは印刷、TVCM、運送などこれま取引コストが高く一部の人たちしか使えない技術やサービスを誰でも使えるようにコモディティ化することを強みとしています。
「仕組みを変えれば世界はもっとよくなる」というビジョンは、さらに「Reality 解像度」「System 仕組み化」「Co-operation 互助連携」の行動指針に分解されます。行動指針は個人評価の軸としても使われているので、ラクスルが実現すべき世界と日々の行動をブレずに取り組めるのは魅力です。ここまで日常業務とビジョンの実現に一貫性ある会社はなかなかないと思いますね。
今後どういうことをしていきたいか
今後私がやっていきたいことは大きく2つあります。
1つ目は、自立したチームの育成。強いリーダーがいるとトップダウンで意思決定が早い反面、メンバーとの関係が発注主と受託者のようになってしまうデメリットもある。各メンバーが自分の領域で成果責任をもち、課題解決に向けてプロフェッショナルを発揮できるチームや仕組みを作りたいと考えています。
2つ目はデザインが「特別な一部の人の技術」ではなく「誰もが当たり前に使える道具」にすること。
プロダクトを通してより多くの人々に価値提供ができるよう、これからもチームと自分を進化させていきたいと思います。

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