9月1日に正式リリースを迎えたITデバイス & SaaS統合管理サービス、「ジョーシス」。新事業の開発を担当したのは、インド拠点のエンジニアたちを中心とした、グローバルチームだ。インドと日本—完全にグローバルなチームをリモート体制の中で立ち上げた、その効果とは?
▼対談参加者

取締役CTO 泉 雄介(Yusuke Izumi)
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新規事業開発室 原田織子(Oriko Harada)
グローバルチームが
生み出した「ジョーシス」
——ラクスル、ハコベル、ノバセルに続く第4の新事業としてリリースされた「ジョーシス」とは、どのようなサービスなのでしょうか?
泉 雄介(以下、泉) コンピューター・アプリ等の台帳管理や調達、SaaS管理をクラウド上で自動化できるサービスです。主に50~100名規模の企業をターゲットとしています。対応アプリの種類やユーザーの状況・属性など、ライフサイクル全体で統合管理するために欠かせない、拡張性の高さがウリです。

実はラクスルでもメンバーの入退社に応じたPCやアプリの入れ替え、資産管理やキッティングを含む作業は、絶えずヘルプデスクチームの負担となっています。コロナ禍の初期の頃でもリモート勤務に対応したり、変化に対応するのも大変で、この課題は、ほかの会社も構造的に持つ課題だろうという仮説から、プロジェクトがスタートしました。それからプロトタイプを見せ始めたのが昨年10月頃。そこから精度を上げたり拡張性を持たせたりしながら、9月に正式リリースを迎えました。
——開発の裏にはインドメンバーの活躍があったそうですが、どのようなメンバー構成でチームを組んでいたのでしょうか?
泉 現在、新規事業開発室はビジネスメンバー、オペレーションを含め15名ほどのチームで、うち9名はテックメンバーです。エンジニア側は9名のうち7名がインドオフィスのメンバーで構成されており、日本の数少ないエンジニアメンバーのひとりが原田さんです。
——原田さんは今年入社されたばかりで、すぐに新規事業開発室への配属が決まったんですね。プレッシャーなどはなかったのでしょうか?

原田織子(以下、原田) 社会人になるという意味では緊張感がありましたが、新規事業だから特別にプレッシャーを感じたというのはありませんでした。むしろ、プロダクトを1から作れて、インドのチームと開発できる環境は楽しそうだなと思いました。また、泉さんとは就職活動中に何回かお話しさせていただいていて、知っている方がチームにいる安心感もありました。
泉 原田さんは、なんでも察してパッと動いてくれるから、本当に助かっています。4月に入社いただいたばかりなのに、すでにチームにいないと困るメンバーですよ。
グローバルチームだからこその
ナレッジ共有や評価の方法
——泉さんと原田さんは別々の場所にいたとしても、当然、日本の同じ時間、同じ言語でのコミュニケーションが可能です。対してインドメンバーは、言語はもちろん、働き方や生活リズムなども違うわけで、コミュニケーションに苦労する点はなかったのでしょうか?

泉 私や原田さんが英語に不自由ないという背景もあるだろうけれど、とにかくチームの雰囲気が良いんです。完全にリモートで始まったチームであるにも関わらず日本と同じくらい活発にコミュニケーションを取りながら仕事をしている印象です。
原田 チームの朝会では私やインドオフィスに所属する藤田朋代さん、Anushaさんが通訳をしつつ、日本メンバーとインドメンバーのブリッジ役になっています。業務中、気軽な質問はSlackとGoogle Meetでしていて、詰まってしまったらその場でMeetで「一緒に開発しましょう」と話しながら作業をすることも。こまめなコミュニケーションを心がけています。
泉 Slackにインドオフィスの雑談チャンネル#josys-snackbarを用意したのも良かったね。

原田 泉さんが工夫してくださっているので、雑談の機会も多く、よりメンバー間の距離が縮まりやすくなっていると思います。インドメンバーから「庭にマンゴーがなったから、マンゴージュースを飲んでるよ」なんていう写真付きのメッセージが届くこともあるんですよ(笑)。17時を過ぎると、インドはまだ昼過ぎなのに「まだ働いていて大丈夫?」なんて気遣ってくれたりもして、良い人ばかりで本当に居心地が良いですね。
泉 ジョーシスは新たに組成したチームで開発を進めてきたからこそ、さまざまな新しい試みを通じてチームビルディングがやりやすかった点もあったのかと思います。
——仕事を円滑に進めるために、コミュニケーション以外にも工夫された点はあったのでしょうか?
泉 チャットだと気軽にやり取りできる反面、話の内容が流れるものなので英語でドキュメントを残すルールをつくりました。メンバーの開発内容に対しては、事業インパクトや目的をなるべく伝えるようにしたり、ユーザーインタビューの資料も日英両方でつくっています。また、エンジニアをフロントエンドとバックエンドに明確に分けていません。インドメンバー含め、コードのアウトプットからどういう所に配慮しているかどうかなどの技量を見て、都度、割り振るようにしています。
原田 インドメンバーからコード起因のバグではなく、ストアページの値段表記の違いについてなどの指摘が飛んできたのはおもしろかったですね。
泉 良い意味で「日本だから」「インドだから」という壁はなく、コラボレーションしやすかったよね。
また、例えば、日本ではまだまだ少ないQA(Quality Assurance)エンジニアの10年選手も、インドにはノウハウも非常に溜まっているし、経験者が豊富にいて探しやすい。そういった形でお互いのメリットを活かして、開発のグローバル化をどんどん進めるべきだと感じました。

従業員台帳、ITデバイス台帳、アプリ台帳などの機能を備えており、ほかにオンラインストアやSaaSアカウントの管理なども行える。
https://josys.it/
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