
【エンジニア】自己解決するよりもフットワークを軽く。出来るエンジニアは、人との接点が多い!| CTO 泉雄介

泉 雄介(Yusuke Izumi)
取締役 CTO
ラクスルが新卒を採用する理由
技術力の高いエンジニアが集まるラクスルが、「なぜ新卒を採るの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。実はラクスルでは2016年から新卒採用を行っており、既にラクスルエンジニアの中核を担う存在として活躍しています。1年目で新しいプロダクトのフロント部分をリリースまでやり遂げたメンバーや、3年目で自ら手を挙げてシステムの提案~実装まで行い、年間数千万円もの効率化を成し遂げたメンバーもいたり、すでに多くの新卒エンジニアメンバーが大きなチャレンジを任されて急成長しています。
また、優秀な新卒メンバーの存在によって、既存メンバーが緊張感を持つことも、健全な状態だと感じています。
エンジニア採用の責任者を担う戸辺さん(執行役員 ノバセル事業本部 HoE)は「年齢によるダイバシティが最重要。若い人の価値観を“考えてわかる”ことと、ネイティブにわかるのはぜんぜん違う。全世代のネイティブを社内に取り込むことが、新卒採用を続ける理由」と話しているのには共感できます。自分が携わっている新規事業にも若いエンジニアがいますが、その人の考えることは私にとってすごくキラキラしていて、とても意味があるんです。シニアメンバーだけで固まると「いつものやり方」になりがちなところを、新鮮な考えを吹き込んでくれるんです。新たにプロダクトを作るなら、次のジェネレーションに受け入れられるものを作らなくてはいけないのに、シニアメンバーだけでは感性が全然太刀打ちできないんですね。
サービス内容だって、工業デザインだって同じです。無駄なことをやり続けたり、文化的なものを尊重しないといけない部分も当然あるので、そのバランスを図りつつ違う形を作っていかないといけません。
だから新卒はもちろん、技術力が不足していると感じている人も、そこは恐れずにどんどん考えを述べたり、人に尋ねたりして欲しいです。
エンジニアが成長するのに最適&最短な、ラクスルのメンターシップ体制
私は中学1年くらいの時に父親の転勤について渡米し、そのまま中高大学時代をアメリカで過ごしました。大学での専攻は作曲。でもそれ以前からプログラミングに興味があり、小5でBASIC言語を使い始め、プログラムを公開したりゲームを作ったりしていました。音楽好きでコンピュータはゼロベースで始めた、みたいに取られがちだけど実はそうではないんです。子供の時からモノを作るのが好きで、かつ、中の世界を全部自分で知ることができるのが面白かったんです。
大学卒業後は作曲を生業にしていました。会社エントランスで流れている音楽、これも実は僕が作曲したものです。自分の手を動かすことで、人にインパクトを与えるのが好きなんでしょうね。作曲の仕事をしているうちに映像に興味が湧いて作品を作りはじめ、それをクライアントワークとして納品しているうちに、今度はWebアニメーション、当時はFlashアニメーションが面白くなってきました。そこでWEBへの可能性を感じ始め、データベースや開発を独学し始めました。
だからこそわかるんですが、技術力を磨くのに、一人で勉強するのはものすごく難しいし、非効率。ラクスルが推奨するのは「教え合う」カルチャーです。下手なことを尋ねて“マサカリ”が飛んでくる(技術的な事柄に対し、鋭い指摘を行う)こともないし、ペアプログラミング等を通じて教え合うことが当たり前である文化が大事だと考えます。教えることは二度学ぶことにもなるし、またジュニアからシニアが学ぶことも少なくない。
たかが印刷物、されど印刷物の発注ですが、外からはわかりにくい部分が非常に複雑で、私自身プロセスを読み解くのに半年くらいかかりました。読み解きにかなり集中し、色々な人と話し、システムが持っている機能図を解き明かすのに半年ですよ?
他の福利厚生も大事だと思いますが、メンターシップも成長には必要不可欠な要素だと思います。技術的にも、キャリア的にもメンターシップが整っている体制は、参考図書を読むよりもずっと豊かな経験値につながります。人を教えることができるのはやはり人が基本だと思っており、教科書やアプリ、システムはあくまでもツールだと考えます。

新卒はボーナスステージ付きの成長機会。
恐れずにどんどんコミュニケーションをとってほしい
新卒の武器とは、良い意味で「何ができるかに対しての期待値が低い」ので「誰でも親切に教えてくれる」ことだと思います。なので「利益ゼロだからこそ、成功したらものすごく評価されるぞ」とポジティブに捉えてほしい。初めは何も知らないのが前提だから、聞きたい放題というボーナスステージで、失敗に対してもより寛容です。
だから恐れず、どんどんグイグイ来る新卒に来てほしいし、そのことが組織にとってもより良いことだと考えます。メンバーにはいろんなタイプがいていい。逆に、私が新卒に尋ねる機会も少なくないと思います。肩書や経験値を問わず、とにかく人と接することは、自己成長とともに事業を成功させる秘訣でもあります。
以前ハコベルのデータ分析基盤を作ろうとしたときに、まずはラクスルで何をやっているのかを現場に聞きに行きました。そしてヒアリングした結果をまとめ、ハコベルの開発者に「こういう設計を考えています」と見せました。
そのときに「ラクスルはそうだけど、ハコベルはこの点が違うから規約と照らし合わせて考えたほうが良いのでは」といった意見が出てきたりするので、さらに法務メンバーや事業部に話を聞きながら、データの取り扱いのルールを固めていきました。

最後にその方針をインフラ担当者にぶつけると、「泉さん、Jenkinsでスクリプトを作らなくても、AWSのDMS(Database Migration Service)を使えばマスキング処理もしてくれます」なんて意見が出てきたりするので、それをまとめて設計図を完成させます。CTOの私でも、あれこれ人に尋ね、アイディアをどんどん壁打ちしながら業務を進めていくわけです。最後の判断は自分でする必要はありますが、その過程で人に尋ねたり、フィードバックを求めることはまったく恥ずかしいことではありません。
エンジニアこそ、フットワークは軽くあれ
いいプロダクトを作ったら必ず売れるかというとそうでもないし、僕自身、たくさんの失敗を重ねてきました。金融機関で働いていた際に、ローン推進の仕組みを作ったら、部門自体がなくなり、ついにはビジネスも消滅してしまったとか。これまで30以上のプロジェクトを手掛けてきましたが、今残っているのは3~4つぐらいしかないんじゃないですかね。
そんな経験もあるからこそ、同じ時間をかけて開発するなら、報われないものは作りたくありません。
小さな失敗や、失敗前提でプロセスを組むことは構いません。むしろ、そうすることで作り込み過ぎないから。とりあえず試作品を作って、「こっちは違う」といった感じに探索していくクセをつけましょう。全部作りこんで後でダメになるよりも、その手前で簡単に検証できることを積み重ねて小さな失敗を繰り返す方が、効率よく回せて開発も報われるものになります。
つまり、開発現場は”練習”だと思えばいいんです。世の中に出してからが本番だから、一人で完結しないことが大切。メンバーにもよく「30点くらいでとりあえず上げてほしい」と話すのですが、それは3割の完成度であっても、オプションをいろいろ並べてみたりでも、とりあえず色んな人にぶつけてみて正しい方向を作っていくほうが早いし上手くいくということ。
人に見せたらフィードバックがあれこれ返ってくるのは当たり前、「何か指摘されたら失敗だ」というふうに感じちゃうのはおかしいんです。自分なんて大したことないって思っていたほうがいいですよ。みんな、うぬぼれ過ぎなんです。
ジュニアとシニアの差を一番感じるのは、その辺りの行動量です。
ジュニアエンジニアは、なにか調べる必要があるとすぐにネットで調べ、自分の世界だけで解決しようとする。一方、シニアエンジニアはすぐに他のメンバーに尋ねたり、検証してもらうなど、フットワークが軽い。人との接点の数が、ジュニアとシニアで大違いなんです。
これは、戸辺さんの言葉を借りれば「考えることと悩むことは別」ということです。悩んでいる時間は前進していない。悩むくらいだったら、人に聞いて何が足りないのかを知ったほうが早い。人に話にいこうと思っていろいろ情報を整理し始めると、自己解決につながることも往々にしてあると思います。
終わりに・・
「デジタル化が進んでいない伝統的な産業にインターネットを持ち込み、産業構造を変え、世の中に大きなインパクトを与えていきたい。」ラクスルが対峙している伝統産業は、まだまだ課題が山積みです。業界のプレイヤーを巻き込んで、どうやったら企業を、世界を変えていけるのか。仕組みを変えることで世界をもっとよくしていけるのか。
エンジニアであっても現場の解像度高く、社会課題の解決に対峙していく経験をラクスルで積み重ねていくことが結果として、市場価値の高いスキル人材を輩出していくと思っています。
ラクスルは、ジュニアにたくさんのチャレンジを与え、支えてあげる会社でありたい。
ラクスルのエンジニアとして、スキルを身につけ、一緒に成長し、社会課題に向き合っていきましょう
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