ラクスル事業本部 RIU開発2G
加藤大將
大阪府出身。専門学校を卒業後、ソフトウェア開発会社を経て上京しDeNAに入社。約4年半に渡ってMobageプラットフォーム関連の開発業務に携わる。その後ライフスタイルメディアを運営するアイランドに転職。フルスタックエンジニアとして上流から下流までの業務を3年半を通じて担当する。2020年7月にラクスルに入社。
社会情勢の変化で思わぬ方向転換、そこからキャリアが広がった
ラクスルで働きはじめてちょうど1年が経ちました。コロナ禍のリモート入社でどうやってメンバーに慣れて働いていけるのか不安もありましたけど、あっという間の1年でしたね。

初めて社会人として就職したときのは2010年で、この時もリーマンショック直後で社会がまだまだ混乱していました。僕は地元の大阪で地元でバンドを組んでいて、20歳まで音楽活動をやっていたんです。それに一度区切りをつけて働こうと考えたとき、DTMやバンドのウェブサイト制作などでコンピュータに親しんでいたので、プログラマーになろうと考えたんですね。そこで専門学校に3年間通うことにしました。目指していたのは組み込み系のエンジニア。家電やカーナビなど、身近な人が日常的に触れる商材に携わるエンジニアになりたかったんです。「これ僕が開発したんだよね」とか言えたらかっこいいなと思って(笑)。
ところが卒業して大阪のソフトウェア会社に就職したものの、リーマンショックの煽りで組み込み系の開発業務が激減。会社がウェブ系のシステム開発など業務を広げていくことになったので、僕もRubyの勉強をすることなりました。その後は企業系の資材管理システム、蔵書管理システム、顧客管理システムなどの開発してきましたが、結局やりたかったはずの組み込み系の開発は一度もやることができませんでした。
そのころ付き合っている彼女がいたのですが、リーマンショックで景気が悪化したうえに当時の僕の収入はまだまだ低くて、プロポーズどころじゃありません。給料アップを狙って地元で次の転職先を探してみましたが、なかなか条件に合う会社が見つからない。転職エージェントに話を聞くと、やはり大阪よりも東京のほうが圧倒的に企業数が多く、給与水準も高いと知りました。それで東京でも探してもらった結果、DeNAに転職が決まってテストエンジニアとして働くことになったんです。転職のタイミングで一緒に上京してくれた彼女とは、約1年を経て無事に結婚しました(笑)。

DeNAでは4年5か月とこれまでのキャリアの中で一番長く働いてきました。他社が作ったゲームを乗せられるMobageというプラットフォームがあるのですが、そのスマホアプリ開発のためにDeNAではSDK(Software Development Kit)を提供しています。僕はそのテストを自動化するためのシステムを作っていました。JavaやObjective-Cを使うアプリもテストコードはRubyで書かれることが多かったので、ここで前職での経験が役に立ったんですね。
さらに入社2か月後、今度はいきなりサンフランシスコにある拠点のヘルプ要員として3か月の長期出張に行くことに。そして現地に行って知り合ったのが、いまラクスル事業本部でHoEを務める二串です。ここでもRubyの開発に携わることになったのですが、錚々たるメンバーに囲まれていい経験ができました。
その後もいろんな開発に携わりますが、最後はテスト関連業務の生産性向上を推進するSWETというグループに所属していました。その時の上司が転職先で僕を誘ってくれて、今度はライフスタイルメディアの運営会社に移籍することにしたんです。ここでは外注していたシステム開発を内製化するため、フルスタックエンジニアとして3年半ほど働いてきました。フルスタックとは文字どおりサーバサイド、フロントエンド、アプリ、インフラの一部、そして情報システムまでを見るという、まさに何でも屋。上流から下流まですべて自分1人で担当するのはすごく大変でしたけど、得たものも大きかったです。設計力、開発力、運用保守力、そしてこれだけの業務を自分ひとりで回していくための調整力。すべての戦闘能力がここで大きく伸びたと思います。
でも成長できた反面、そこに危機感もありました。僕を引っ張ってくれた上司がやめたことでエンジニア1人体制になってしまい、開発がスケールしなくなりました。それに1人だとすべてを自分で見ることができますが、迷った時に相談したり議論する相手もいません。自分のスキルが停滞してしまいそうな感覚があったんです。
スクラム開発できる環境で、さらなるスキルアップを目指したい

そんなときに連絡をくれたのがDeNA時代にサンフランシスコで出会い、既にラクスルで働いていた二串でした。当時はまた具体的な転職活動をしていたわけではありませんが、ラクスルの社内イベントに誘ってもらったんです。そこで実際に何人かのエンジニアの方とお話ししてみて、「ここで働いてもいいかな」と気持ちが傾いていきました。スクラム開発の体制、システム自動化に対する思想など、会社の姿勢に共感できることが多かったんです。システムってすべて自動化してしまうと、ちょっとしたバグでも全体が止まってしまい、かえって開発工数が膨らんでしまうことがあるんです。無理なく確実にできる部分だけを自動化して、それ以外は手作業と並行するという思想は、自分がやってきたことと近くて納得感がありました。
選考の一つでもあるワークサンプルもよかったです。ここでは課題を出されて自分が出した答えについて担当のエンジニア数名と「なぜこの設計にしたのか?」「こうしたほういいのでは?」と実際に議論していきます。これで今後ラクスルで働いていく感覚をつかむことができましたし、「やっぱり自分はいまのままじゃダメだな」と気づく良いきっかけになりました。
入社後は印刷の「ラクスル 」を扱うラクスル事業本部のシステム開発部に配属され、これまでにクーポンAPIの開発や納期指定の機能開発などを担当してきました。なかでもシールの大量仕様追加は初めて社長賞をいただいた、印象深い案件です。ラクスルはなかなか大きな技術負債を抱えていて、入社前に聞いてはいたものの実際は想像以上の大きさだったんですね(笑)。この案件ではその負債の大きな部分のコードを触る必要があって、エンジニアとして苦しい部分もありました。でもそれが大きな売り上げアップにつながって、結果として社長賞をいただいた。たとえ負債があってもプロダクトとしてやるべきことをやれば、ちゃんとお客様に新しい価値を提供できるんだな、と実感した案件でした。
今年の2月からはエンジニアリングマネージャーに就任しましたが、これは自分なりに思うところがあったからです。一緒に働いているメンバーはそれぞれ優秀で開発力もあるのに、それぞれがバラバラで働いている印象でした。ビジネスメンバーから降りてきた案件を何も言わずに開発に移すものの、どこか業務委託的な姿勢になっていて、腹の中ではいろいろ何かを抱えてる。でも、それを声には出すことはなかったんです。
僕はもうちょっとチームを強くしたかったので、1on1でチームをよくするためのアイデアについて、メンバーと話し合ってきました。エンジニアリングマネージャーになったらマネージャー視点からもう少しチームや組織を変えていけるんじゃないかと思ったんですね。
就任してからは、振り返りのテーマをしぼって課題を明確化したり、それに対する具体的かつ実行可能なトライを出してもらいました。その積み重ねで少しずつそメンバーから「それってこうじゃない?」「もっとこうした方がよかったんじゃない?」と課題の改善案が出たりと、声が上がるようになってきました。メンバーの心理的安全性が向上して、言いたいときに言いことを言える状態にチームを引っ張っていくことができたのかなと思ってます。
またペアプログラミング、モブプログラミングを通じて、より質の高い開発ができるようになりましたね。もしベロシティが低下しても、その原因を深掘りして障壁を早期に取り除く方法を考えたりと、チーム全体が改善のために自律的に動けるようになってきたと思います。
こういうチーム内のバラバラな空気感については、雑談が不足していること影響しているのかなと感じています。これはリモート環境によるものでしょうね。僕自身もメンバーと活発に議論しながらチーム開発がしたかったのに、実際は決まったミーティング以外でメンバーと話す機会はほとんどありません。相手のことを知らないし、相手も自分のことを知ろうとしない。これはラクスルの課題というより、リモートワークで働く社会の課題と言った方がいいかもしれません。

ラクスルの課題は、むしろ技術負債のほうです(笑)。いま僕はエンジニアリングマネージャーのポジションから離れて、技術負債の解消に全力を注いでいます。当初はチームビルディングを通じてチームで負債解消に寄与したいと思っていたんですけど、エンジニアリングマネージャーになると採用活動やメンバーのケアなど、他に時間を注力することが多くなります。それより自分がガンガン手を動かすことが、一番手っ取り早い負債解消になるんじゃないかと判断しました。
やっぱり自分も30代半ばという年齢になると「下の世代に同じ思いをさせたくないな」という心境になるんですよね。それには自分が直接動いたほうが早い。もちろん、それに必要なチームビルディングはやっていくつもりですし、無理にいまはその役割である必要はないなと思っています。
お話ししてきたようにラクスルはスクラムで開発しているので、一緒に働くメンバーには協調性を期待します。つまり「チームで働くことに興味関心があり、みんなで議論しあったりしながら開発するということに醍醐味を見出せること」ですね。そういう働き方が好きな人が向いていると思います。あとはプロダクト目線を持てる人でしょうか。もちろん技術力も大切なんですけど、きちんとプロダクトの先にいるお客様を想像して、ユーザーの価値に向きあえる人がいいプロダクトを作れると思います。
ラクスルは、そういうマインドを持てるエンジニアにはとても心地よく、働きやすい職場だと思いますよ。
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